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(5)行政区域を越えた問題としての新首都づくり

 

新首都づくりの過程における諸課題は行政に係るもの、住民に係るものを問わず、新首都の圏域全体の問題として考えるべきという課題がある。新首都づくりが「クラスター方式」により実施されたとしても、それは「閉じられた系」の中で行われる都市建設や地域開発とはなり得ず、むしろ「クラスター方式」をとることによって、主として開発の対象となる区域とその周辺の地域との関わりが複雑になることも想定される。大気や水の問題、廃棄物の処理の問題、交通の問題など人の活動や生活に伴って適切な対応が必要となってくる諸課題は、いずれも県、市町村、広域行政機構それぞれのレベルを包括した新首都の「圏域全体の問題」として解決していく課題である。

(6)計画段階のまとめ

 

ア 新首都づくりの基本的方針、計画の策定については、国の中枢機能が立地する都市の建設という特別な国家的事業であるから、国自身が第一義的な責任を持って行うものである。

 

イ 新首都建設で、計画策定や総合調整権を持つ「特別な国家機関」、開発事業を一元的に行う「国の設立する一の事業主体」と地方公共団体との関係については、計画や事業のスムーズな実施のため、計画策定の当初の段階から地元地方公共団体の参画を求めることが望ましく、またその場合、多様な参画方法を採り入れるべきである。  _

 

ウ 地元住民との合意形成では、新首都建設は建設地の様相を大きく変える可能性が強いため、新首都建設の過程で、地元住民の意向が十分反映されるようにしておくことが必要である。

 

工 現行の都市計画法などとの関係については、基本的には既存の仕組で都市計画決定等が行われるものと考えられる。なお、これについては、地方分権推進委員会の勧告に基づき地方公共団体が実施することとなる都市計画関連の法の体系を尊重していく必要がある。

 

 

 

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