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○ こうしたことも、予算を削減して人的サービスに振り分けるといったことに対する阻害要因となっている。

 

4 費用負担とサービス提供のあり方

○ 広い意味での行政サービスには上限がないといえる。事業セクションでは、住民ニーズを背景に、サービスアップ、予算獲得のインセンティブが働き、また、それを全体の財源の中で賄っているため歯止めがかけずらく、予算は当然増加する傾向にある。

○ それに対しては、事業を小さな単位で、人件費も含めて1個1個の財政収支を示し、例えば現状の住民負担ではこれ以上の事業はしない、あるいはこれ以上の事業を望むのであれば、個別の目的税や使用料的な負担が必要とするといったことを行わないと、事業のコントロールは困難であると思われる。つまり、負担とサービスをどこでとめるかという範囲をできるだけ解りやすい単位で示す必要があるのではないかということである。

 

5 機会費用の考え方の過小評価

○ 日本人社会では、機会費用の概念が無視あるいは過小評価されている傾向が見受けられる。川崎市では、従来保育料を国基準や他の地方団体よりも随分低い基準としてきたが、それを多少基準増する際にも住民批判が大きかったといったことが好例である。

○ 家庭で主婦が家事や育児を行うということには機会費用が発生するが、逆に主婦が働きにでると機会費用を負わない。負わないということは、家事や育児を誰かに委ねているということなので、それに対する対価を支払って当然であり、それも払わないという行動は、コストを全く負担しないということであり合理的でないといったことを行政は市民に対して主張していく必要があるのではないか。

 

 

 

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