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第3章 宮田町における協働型まちづくり

 

1 協働型まちづくりの必要性

前章からもわかるように、住民と行政の連携によるまちづくりは、行政主導型の性格を強く持つものの、住民の自発的な活動へも発展しながら着々と進展している。本調査研究では、その点をよりいっそう充実・発展させることが、「豊かで誇りを持てる地域社会を創造」するものと考える。その意味では、住民、企業、行政の連携から「協働」へ転換する必要がある。ここでの「協働」とは、意思をもった複数の行為主体が何らかの共通目的を達成するために、役割に応じて互いに心を合わせ、力を合わせ、助け合っていくことである。この考え方を地域づくりに活用しようとするのが「協働型のまちづくり」であり、そのようなまちづくりを進めていくためには、社会環境の変化とともに、住民・企業・行政に加えて議会のそれぞれが、意識や行動を自ら変革していかなければならない。そこで、以下では、協働するまちづくりの主体のうち、行政と議会を「町」と位置づけた上で、「住民・企業・町」の三者による協働型まちづくりを促進するために、次の6つの視点が必要ある。

 

(1)まちづくりの土壌形成

多くの企業城下町にみられるように、本町においても、貝島炭礦(企業)が地域の求心力の核であったが、貝島炭礦閉山後は、町(公共)がその役割を担うことになったといえる。しかし、新しい核としての町(公共)は貝島とは明らかにその立場や機能も異なり、住民の町に対する依頼心と個人的な権利意識を強めることになった。それが住民の自主性や主体的な活力の育成を遅らせる要因となった。

一方、町は、閉山に伴う失業対策、鉱害復旧、土地処理や生活基盤の改善に追われた。閉山後の再開発計画を明確にできないまま直面する課題処理に終始することとなり、その過程での生じたさまざまな軋轢も重なり住民と行政との信頼関係が薄れていった。また、同時に町議会との調整も図りながらの行政運営が求められ、行政自体の活力の停滞感を生むことにもなった。

それゆえ、過去のまちづくりにみられる住民・行政・議会の相互の信頼感や意思疎通の欠如を克服し、それぞれの主体的な活力を高め、自らのまちは自らつく

 

 

 

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