日本財団 図書館


(イ) グループホームについて

平成9年度より国庫補助として痴呆対応型老人共同生活援助事業(痴呆性老人向けグループホーム)が創設された。通常の家屋や既存の施設を改造して小規模(1施設5〜9人)で日常生活空間に近い環境で、専属スタッフによるケアを受けながら、共同生活を行うもので、北欧では高齢者ケアに成果をあげている施設形態である。地域で家庭的な雰囲気の中で安心した生活をおくることができ、施設・在宅の長所を組み合わせたサービスとして注目されている。

痴呆対応型老人共同生活援助事業運営費は、5〜6人の場合は年額11,812千円、7〜9人の場合は年額16,596千円となっている。

(ウ) デイサービスセンターの留意点

広島県内におけるサービス利用者の一回あたりの自己負担額は、各施設によってばらつきはあるが、平均すると5〜600円とみられる。また、介護保険制度が導入された場合、市町村が保険料を徴収することになる。

(エ) 廃校転用に当たっての留意点

・老人デイサービスセンター設置に当たっては、車での送迎が必須であり、駐車スペースの確保が求められる。

・車椅子での移動などに対応するため、バリアフリー化や、二階以上を利用する場合にはEVの設置などを図る必要がある。

(オ) コミュニティ・ケアの体制づくり

今後の要介護高齢者の対応には、主に次の視点に留意する必要があると思われる。

a 寝たきり老人の削減へ

今、要介護高齢者への対応において求められているのは、治療のためよりも、本人に残された人生を支えるためのサービス、最後まで本人とともにあるシステムである。その舞台は、患者が働き、暮らす場としてのコミュニティであり、そこにおいて求められるサービスの提供が有効に作用する仕組みを整える必要がある。それには地域住民の健康維持・増進に対する啓蒙と寝たきり老人の削減を図ることである。そのためには保健・医療・福祉を三位一体として位置づけ、24時間巡回サービスなど地域包括医療に取り組むことが必要である。これは長期入院や、社会的入院を減らし、住民の負担となる一人当たりの国保医療費を削減することにもつながる。

b 民間福祉サービス導入の可能性

在宅福祉サービスのメニューのなかで移動入浴、食事サービスなどは利用者の生活のアメニテイ(快適性)を確保するのに不可欠のものになりつつある。今後、公的な福祉サービスと並んで、あるいは公共的供給システムに組み込まれながら民間事業者のシルバーサービスが選択性、利便性、補完性を活かして多くなると思われる。公共的供給システムとしてできるものを明確化し、施設、ソフトの対応を図る必要がある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION