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(3) 基調となる“美しい風景”の存在とレクリエーション活動

先に示したように、本地域のレクリエーション資源は自然環境が基調であるが、その直接的な利用によるレクリエーション活動の展開のみならず、地域の歴史、文化と一体となった田園、里山景観としての美しさを残している点も特徴的である。

そのような地域独特の風景は、貴重な財産であり、今後レクリエーション活動が展開される際の「舞台」を形成する大きな要素として評価されるものである。

また、風景創出過程をレクリエーション活動の一貫として展開することも可能である。

 

(4) 定着しつつある陶芸家など新しいレクリエーション活動

本地域では、それぞれの町村に陶芸家が定住し創作活動を進めている。このような状況の中で、芸術、文化などの体験指向に対応した工芸の体験、技術取得などレクリエーション的な部分での活用が可能であるとともに、レクリエーション活動の展開と呼応して、また、静かな環境特性を背景として、陶芸家のみならず多方面の芸術家の定住の可能性も有している。

さらに、陶芸家の定住を支えている笠間や益子などの著名な産地との連携をうまくとることにより、広域的な視野からのレクリエーション活動展開の糸口として期待される。

 

(5) 利用しやすい条件の中での多年齢層のレクリエーション活動

本地域は、鉄道が地域内に存在しないものの道路交通条件が整い、近隣諸都市のみならず首都圏からのアクセスも比較的良い状況にある。

また、山林の多くは、高低差の少ない利用しやすい形態にあるため、若い世代やファミリー層のみならず、高齢者層の利用も容易である。こうした山林の状況からみても、特定の層に限定されない幅広いレクリエーション活動の展開が想定される地域として多様な可能性を秘めているといえる。

 

(6) 広域的な観点からの新しいレクリエーション活動の広がり

本地域におけるレクリエーション活動展開の可能性をいくつか示してきたが、それらは地域内の資源性や環境特性などを背景とするものである。しかし、地域内のレクリエーション資源の中には地域の枠を越えて存在し、またそのような観点からレクリエーション活動の可能性が広がるものもある。

那珂川では、流域性に着目した広域的なレクリエーションの可能性が広がり、キャンプ場の利用形態(アンケート調査結果より)からは、そこを拠点とした周辺地域への利用展開がより一層明確になってくる。

さらに、笠間市や水戸市、栃木県なども視野に入れた広城的な連携について、今後のレクリエーション振興の中では必要性が高まると同時に、新しいレクリエーション活動の展開の可能性を秘めたものとして期待される。

また、別の観点ではあるが、近接して立地した大規模レクリエーション施設(ツインリンクもてぎ)利用者への対応も、広域的な流れの中での新しいレクリエーション活動への参加者として、地域での受け止めを検討していくことにより地域のレクリエーション活動の可能性は広がるものと考えられる。

 

 

 

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