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元々山麓の10の地域は榛名山との関わりをそれぞれ持っていたが、社会状況の変化に伴い、山に背を向けるようになった。しかし地域の榛名山への関わりは変化しても、榛名山は変わっていない。

連携とは、地域の得意分野を生かして協力していくことであって、各々の地域が得意とする分野を持っていることが連携の前提となる。個々の取り組みをせずして連携はない,道路をつくることそのものが連携ではなく、道路それ自体は線でつながっているだけにすぎない。農林業や他の土地利用、都市計画においても、榛名山とどう向き合うかが前提となる。榛名山を中心とした自然、生態系、風土との関わり合いを各々の市町村が持って、それを足したものが榛名山の文化となる。

地域経済の活性化も大事だが、何よりも個々の地域がいかに榛名山と関わっていくかが大事で、そこから導いた政策が山麓文化となる。政策も文化であって、地域に対する考え方、哲学、論理といったものをしっかり持っていなければならない。

L

座長の言われたことがポイントであって、我々の責務である。型にあてはめるのではなく、いろんな個性、資源を生かし、それらのハーモニーを奏でることが必要。吾妻町のスイセンなども単体ではなく他の地域総資源と重ね合わせて魅力を増す。そういう資源を見つけていかなければならない。箕郷町の箕輪城と吾妻町の岩櫃城は榛名山を間に表裏の位置にあり、戦国時代において戦略的に重要な意味合いをもった城であった。榛名山を核として考えていく場合、こうした歴史的な関連づけは地域資源としてより有効なものになる。

P

観光では元に戻すのは難しい。観光客のニーズの変化に応えた振興が必要。ホテルでは宿泊客を外に出さない。商店は後継者不足が深刻。観光業は勤務時間が長く、土日に遊べない。若者はやりたがらない。農業についても同様では。

O

基本的に第一次産業が中心だが停滞している。村民の90%以上は勤めにでている。榛名山の美しい自然を共有の財産として残してほしいが、95%は人工林で、これを活用した施策ができればと思う。

T

群馬町は高崎、前橋との関わりが強い。これに連動した社会資本整備が中心になっている。しかし町単独ではできない施設もあるので他の町の施設も活用しあい、互いに交流し地域のグレードを上げる方向にある。

M

渋川市は榛名山との関わりがやや薄い。渋川市や群馬町は東麓をいかに活用していくかという議論はしているが、榛名山全体については意識が薄かった。

S

人口は滅少の一途。村の位置は榛名山の西麓といった紹介をしている。草津街道の通り道でもある。就業機会が少なく、農林業従事者の高齢化が深刻な問題である。村としては烏川の水源を管理しているようなものだ。榛名山に県営キャンプ場ができたことで村営キャンプ場との競合もある。昭和30年代には榛名湖はスケート客で賑わっていたが、またスケートに代わるものが考えられないか。

N

町の中心から吾妻荘まで約20kmの距離があり、そのあいだは何もない。平成10年には県道がJR郷原駅まで開通する。これによって草津町との新しい連携の可能性があり、また榛名山方面では林野庁の別荘地を借り受けて活用するか検討中であり、道路整備が進むことで交流経路が増えつつある。

農協の規格では商品にならなかった農産物も、新鮮さがうけて直売店で売れており、これまでは考えられなかった現象が生まれている。

Q

名前のとおり、元々榛名山と深く関わっていた。昭和36年にぶどう栽培が始まり、榛名・伊香保への観光客の通過型施設として成り立ってきた。ぶどう農家も当時はじめた人たちは70歳代になり後継者がいない。品種改良等の努力によって、一定の収入を確保できるようになったにも関わらす、長男は勤めにでている。直売所、榛東ワイナリー等も、若者は少ない。今後これらをどう運営していくかが問題で、そのためには榛名山、伊香保に背を向けてはいられない。

U

町域は南北に長く南から榛名湖に向かう道路は2本あるが、山道として使われてきた。合併してできた町なので南と北とでは榛名山への関わり方にも差があり、一元的には表せない。行政も一つの会社として、会社的発想が必要だ。箕輪城跡などの資源を掘り起こし積極的に活用していくべきと考えている。

R

吉岡町も他の観光地への通過点といった存在,町としての独自性をどうやって出していくか模索している。道路網の整備も必要。農業後継者は外に目が向いているが、連携していく中で農業の新しい目玉や独自性が生まれることを期待している。

K

なぜいま連携なのか、いま手を打てるところは打つ必要がある。農業、観光、商工業等、地域によってばらつきがあり、何か一つに絞って考えるのは難しいが、できることから取り組んでいく方向であれば意味がある。道路、施設の整備、既存資源の発掘、新産業の創造等、うまくいけば人は集まってくる。なにより地域にすむ人が増えていくことが最も重要で、住環境、治安、収入を考えるべき。連携プレーの意義は単独よりも効率性・効果があること。

 

 

 

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