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「海難防止・海洋汚染防止の周知宣伝」の報告書

 事業名 海難防止・海洋汚染防止の周知宣伝
 団体名 日本海難防止協会 注目度注目度5
■事業の内容

わが国周辺に海域における海難の状況を見ると、その発生原因は人為的要因によるものが依然として多く、全体の約70%を占めている。また、その特徴として、近年プレジャーボート等の海難が増加の傾向にあり、全体の30%を超える状況に至っている。
 海は、古来より人々の生活、交通、あるいは生産の場として広く利用され、我々は海から様々な恩恵を受け、深い関わりを持ちながら今日の発展を遂げてきた。このように、我々の日常生活には欠かすことのできない海であるが故に、海難や海洋環境汚染等多くの問題を抱える現実を見落とすことがあってはならない。
 そのためには、船舶を職業の場とするものなどに対し、海上交通の安全及び海洋環境保全問題に関し、国際的な動向を含めた最新の知見を広めるとともに、さらに一般国民に対しても、海上安全及び海洋環境保全思想の普及と高揚を図ることが必要である。
 本事業はこのような状況を踏まえ、海難防止及び海洋汚染防止運動を、広くわが国の国民運動の一つとしてとらえ、国民の海上安全及び海洋環境保全に対する意識の高揚に寄与することを目的として下記のとおり実施した。
 なお、平成8年から国民の祝日「海の日」が施行され、国民の目が海に向けられることから、この機会をとらえて「海の日」記念シンポジウムを開催し、広く一般市民に対して海上安全の確保・海洋環境の保全の重要性について呼びかけた。
(1) 海難防止キャンペーン
  海事関係者をはじめとし、広く一般市民の海難防止についての関心を高め、理解を深めるため、海上保安庁、海上保安協会の協力を得ながら、関係団体の協賛を得て、官民一体となった海難防止キャンペーンを次のとおり実施した。
 [1] 「海の日」記念シンポジウムの開催
 [2] 「海難防止のつどい」の開催
 [3] 「海と安全コーナー」の実施
  第36回東京国際ボートショーの開催に合わせ「海と安全コーナー」を開催し、海難防止、海洋汚染防止思想の普及活動を行った。
 [4] 全国海難防止強調運動実行委員会の開催
  a.実行委員会:2回
  b.作業部会:2回
 [5] 海難防止強調運動の宣伝
  最寄りの本会会員に依頼して宣伝カーを仕立てて、船舶乗組員、港湾、漁業、プレジャーボート等の関係者及びその家族を対象に、次の11地区でそれぞれ3日間にわたって海難事故防止等を呼びかけた。
   ・小樽地区  ・八戸地区  ・鹿島地区  ・四日市地区  ・小松島地区  ・広島地区
   ・門司地区  ・敦賀地区  ・新潟地区  ・細島地区   ・沖縄地区

(2) 海上安全・環境保全講習会
 [1] 海上安全巡回講習会
   海難防止及び海洋環境の保全に関するスライドや映画による視聴覚面からの指導を主体に、海洋レジャー関係者、海運・漁業関係者及びその家族等を対象にした講習会で、漁業組合、公民館、会社会議室等を利用し、きめの細かい広報活動を全国の17地区64箇所(参加人員2,791名)において実施した。
   なお、本年度までの巡回講習会開催累計は、961地区、3,903箇所、参加人員196,225名である。

 [2] 海洋汚染防止講習会
   船舶乗組員を対象に「海洋汚染防止に関する専門知識の周知及び海洋環境保全思想の啓蒙」をテーマとして、7箇所(参加人員862名)において開催した。

 [3] きれいな海青少年教室
   ガールスカウト及び海洋少年団等に所属する小中学生を対象に、「人間と海との関わりあい」をテーマとして、3箇所(参加人員606名)について開催した。

(3) 海難防止訪船指導
  日本沿岸、瀬戸内海及び本土と離島を結ぶカーフェリー及びジェットフォイルにアドバイザーを派遣して実施した。実施に当たっては、委員会を設けて訪船指導の基本計画、基本項目等を決定し、実施した。

(4) 海と安全の発行配布
  編集に当たっては、一般読者へも配慮し、掲載記事等が専門的に偏らないよう注意するとともに、読者のニーズに合わせ当協会の独自の取材活動を強化し、更に全国各地から原稿を募集し、掲載内容の大衆化と多様化を推進しながら、海難防止及び海洋汚染防止に関する思想を海事関係者、一般国民等に普及させるために作成、配布した。

(5) 周知宣伝用教材等の作成・配布
 [1] 「海洋汚染・海上災害の防止の手びき」の作成・配布
  a.名 称:海洋汚染・海上災害の防止の手びき
  b.内 容:海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律及びMARPOL条約の解説、油・有害液体物質等の取り扱いと流出油等の処理、廃棄物の規制等について分かりやすく解説したもの。

 [2] 絵で見る教本の作成
  a.名 称:みんなで守ろう川と海
  b.内 容:「人間と海との関わり合い」をテーマに小中学生向きの海洋環境保全思想の高揚を図るもの。

 [3] パンフレットの作成・配布
  a.名 称:きれいな海でマリンレジャーを楽しく
  b.内 容:「マリンレジャーを楽しむために」をテーマに、海洋汚染防止に関する関連法令を一般大衆向けに簡易に解説したもの。
 
 [4] 海洋環境保全イメージグッズの作成・配布
  a.名 称:海洋環境保全イメージグッズの作成・配布
  b.内 容:防水クリアケースに海洋環境保全をイメージしたデザインを施し、子供たちの海洋環境保全思想の高揚を図るもの。

 [5] 会議の開催
   編集打合わせ会議   1回
■事業の成果

(1) 海難防止キャンペーン
  わが国にとって、海は、海運、水産、レジャー等に幅広く活用されており、そこでは多種多様の船舶が活動している。このため船舶所有者、乗組員等のいわゆる海事関係者だけではなく、プレジャーボート利用者をはじめとする一般市民に対しても海難防止についての関心を高め、理解を深めるよう働きかける必要がある。本事業は昭和59年度から官民一体となった全国運動として展開しているが、中央の実施体制の強化、地方における本運動推進の核となる推進連絡会議が活躍するなど、本運動の土台となる組織作りに大きな成果が得られている。
  また、巡回広報、海上安全教室、各種訓練、行事等を全国各地で展開し、海事関係者だけではなく、一般市民に対しても海上防止思想の普及、高揚に多大な効果がある。
  特に、本運動の一環として開催している「海難防止のつどい」は平成2年の第1回から8回を数え一般市民に海難防止の運動を浸透させた。また、ポスター図案及びキャッチコピーの応募総数は、ポスター図案の300点は昨年度を下回ったものの、キャッチコピーは6,018点と激増した。このことは本運動が徐々に一般国民にも浸透して、その関心が高いことが現れているものと思われる。
  なお、平成8年から「海の日」が国民の祝日となった機会をとらえて開催した「海の日」記念シンポジウムは、530名と多数の参加者を得た。また、その模様は7月19日にNHK教育テレビの「金曜フォーラム」で放映され、全国民に海上安全確保、海洋環境の保全の重要性を呼びかけることができた。
  また、「海と安全コーナー」は、東京国際ボートショーの中で開催しているが、本年から海上が、晴海の見本市会場から臨海副都心の国際展示場に移ったため、総入場者数は、172,532名(前年129,999名)と大幅に増加し、うち6,859名が当コーナーに立ち寄り、配布したパンフレットや展示物等により海上安全についての認識を新たにしたと考えられる。従来のレジャーのみに目を向けていた来場者に対し、海難防止・海洋汚染防止思想に目を向けさせた効果は大きい。今後、「海難防止のつどい」「全国海難防止運動推進大会」及び「海と安全コーナー」は更に内容を充実させ、継続したいと考えている。これらの運動は、海への指向が増大する中で、海の知識と海上安全思想を高める上で、事宣を得たものとして関係官庁はもとより、海事関係者等から高い評価を得ている。
  なお、本運動に用いるポスターの図案及びキャッチコピーの公募を行い、全国の海事関係者はもとより、一般家庭の主婦あるいは小中学生から多数の応募を得て、本運動に対する関心を高めることができた。

(2) 海上安全・環境保護講習会
 [1] 海上安全巡回講習会
   一般に小型船舶は、安全に対する各種の情報の入手が困難であり、気象・海象をはじめ安全確保のための諸対策、処置について具体的な知識が得にくいというのが現実であり、さらに堪航性の判断の不十分、安全運航に関する技術や知識の低いこと、また一面、運航形態の特殊性などもあって海難事故を多く発生している。
   この講習会は、交通不便な辺地で働く人々及びその家族等の関係者を対象として巡回車を利用し、海難防止に関するビデオ、スライドによる視聴覚面からの指導を主体として、海難防止に関する知識を反復啓発しているが、文書等による単なる注意喚起の呼び掛けに比べ、膝を交えて行う本講習では、身近な海難の実例をもとに事故に対する反省とその対策を再認識させるうえで具体的に説明、指導することができ、船舶乗組員はもとより関係者の海難防止に対する自覚を高め、認識を深めることにより海難の減少が期待される。
   なお、現地漁民、海洋レジャー関係者との直接の接触、対話の経験等を今後の海難防止対策の立案等に反映させたい。

 [2] 海洋汚染防止講習会・きれいな海青少年教室
   海洋汚染の防止を徹底するためには、その主たる原因者となる船舶乗組員及びその関係者に対して、繰り返し関係法令等の周知を行う必要がある。
   このような観点から船舶乗組員等を対象とした講習会を全国7箇所で、また、小中学生等を対象としてきれいな海青少年教室を全国3箇所で開催した。
   船舶乗組員を対象とした講習会は、「海洋汚染防止に関する知識、思想の周知・啓発」をテーマに関連法令の周知徹底及び各地域における環境汚染防止行政の現状を説明し、海洋汚染防止に関する知識、思想の周知・啓発に多大な効果を上げた。
   小中学生を対象としたきれいな海青少年教室は、「人間と海との関わりあい」をテーマに海洋汚染の現状と海洋の大切さを訴え、海洋汚染のために我々が最小限守らなければならないルールを分かりやすく説明し、海洋環境思想に対する関心を高めた。
   本講習会が、海洋環境保全思想の普及と高揚を図るうえで見るべき成果を収めていることは受講人員の数を見ても明らかであり、今後も、引き続いて活発な啓発指導が必要であると思われる。

(3) 海難防止訪船指導
  本事業は、従来のカーフェリーの訪船指導の経緯を踏まえ、カーフェリーに重点を置いて実施しつつ、訪船対象船舶をカーフェリー以外の高速船、水中翼船等にも拡大し、時代のニーズにマッチした訪船指導を行うこととした。
  カーフェリーは多数の乗客と自動車を同時に輸送するため、一旦事故を起こすと悲惨な災害に結びつくことになるが、安全運航を阻害する数々の問題点も指摘されている。
  即ち、カーフェリーを含め旅客船等は同一航路の反復という特性から、いわゆる“慣れ”による安全運航軽視の状況に陥りやすいこと、また、特に東京湾、瀬戸内海においては船舶が輻輳し、航海環境がここ数年悪化の一途を辿っていること、違法航行船舶の存在等がカーフェリーの安全運航を著しく阻害している。
  そこで、アドバイザーが旅客船並びにカーフェリーの通常運航時に乗船して、安全運航を阻害する問題点を実地に見聞し、安全運航の基本の見直しを行い、さらに乗組員との意見交換により、広い見地に立って実状を把握し、現状に即した有益な示唆を与え、旅客船等の海難の未然防止に良好な成果を上げている。
  本事業は、アドバイザーが乗組員に対し、直接安全運航の調査並びに確認をし、必要ならば安全運航に関する改善の助言を行うことにより、また、運航管理者に対しては運行管理の改善を助言することにより旅客船等の安全運航に寄与するものと考えられる。
  なお、本年は次の訪船指導重点事項に従って指導の強化が図られ、その成果が上がった。
 [1] マンネリ化からくる人為的ミスを防ぐため、社外アドバイザー等による基本運航の確認
 [2] 適切な見張りの実施、余裕のある時期の避航、海上交通ルールの順守及び運航管理規程の順守
 [3] 高速化に対応した安全運航の確保、特に[2]に加え、船位確認の励行、発行前の船体、機関の整備・点検の強化及びシートベルトの着装

(4) 「海と安全」の発行・配布
  海難の未然防止あるいは海洋環境の保全に関する思想の高揚と普及を図るためには、船舶乗組員はもとより広く関係者を対象に、地についた絶え間ない呼び掛けが極めて重要であり、その手段としては、各種の印刷媒体とスライド映画等視聴覚媒体の併用が極めて効果的である。
  本事業では、最近の海難事例をもとにした教訓をはじめ、各種の海難防止及び海洋汚染防止の調査研究事業等の成果のエッセンス等を分かりやすく解説しており、海事関係者に対する海事思想等の末端への周知徹底を図るうえで極めて大きな役割を果たしている。
  昭和42年6月創刊以来458号を出しているが、今後とも継続実施することにより、さらに関係者の事故防止に対する自覚を高め、認識を深め海難事故の減少が期待される。
  なお、本誌の内容等の充実を図るため、内部に編集委員会を設置し、海難及び海洋汚染の防止の効果を高め、併せて読者層を広げる方針を進めている。

(5) 周知宣伝用教材等の作成・配布
 [1] 海洋汚染・海上災害の防止の手びきの作成・配布
   海洋汚染防止及び海上災害の防止に関する法律のあらまし、関係法令、油、有害液体物質の取り扱いと流出油等の処理、廃棄物の取り扱いについて分かりやすく解説した本書は、海洋汚染防止講習会の教材として活用し、海洋環境の保全思想の効用に大いに役立っている。
   なお、本書は関係者の関心が高く、その需要に応え切れないのが実状である。

 [2] 絵で見る教本の作成・配布
   「人間と海との関わりあい」をテーマに小中学生向きの「みんなで守ろう川と海」を作成し、小中学生を対象とした講習会の教材として使用したほか、各管区海上保安本部開催の海の安全教室、海難防止のつどいを通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。

 [3] パンフレットの作成・配布
   「マリンレジャーを楽しむために」をテーマに一般大衆向きの海洋汚染防止に関する慣例法令を管理に解説したパンフレット「きれいな海でマリンレジャーを楽しく」を作成し、海洋汚染防止講習会の教材として使用したほか、各管区海上保安本部、日本船舶職員養成協会、小型船安全協会等を通じて広く一般に配布し、海洋汚染防止運動に対する関心を大いに高めた。

 [4] 海洋環境保全イメージグッズの作成・配布
   クリアケースに子供向けの楽しいイラスト「あなたです。美しい海を守るのは」を刷り込んだ物品を作成し、小中学生向け講習会の際に配布したほか、各管区海上保安本部開催の海の教室、海難防止のつどい等を通じても配布し、子供たちの海洋汚染防止思想の普及に大いに役立った。





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