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■事業の内容

「貨物の液状化特性に関する研究」
(1) 第1回液状化物質Ad hoc部会において船舶艤装品研究所委託研究調査実験の進捗状況を確認の上、本年度の調査研究実施内容を詳細に検討し、次回液状化物質検討部会及び特殊貨物運送部会検討用の基礎資料を作成した。
  主な検討結果は次のとおり。
 [1] 液状化可能性試験法については、できるだけ詳細に検討し、11月上旬を目処として確立し、研究成果を国際海事機関(IMO)第2回危険物、固体貨物及びコンテナ(DSC)小委員会へ発表する。
 [2] IMO固体ばら積み貨物の安全実施規則(BCコード)付録Aの液状化物質リストの同義語について検討整理することになった。
 [3] 液状化物質の同等性について、取りまとめることになった。
(2) 第1回液状化物質検討部会及び第1回特殊貨物運送部会において本年度の調査研究実施内容が詳細に検討された後調査研究計画案が了承された。また、液状化可能性試験法の内容が確認された。
  主な検討結果は次のとおり。
 [1] 液状化可能性試験法については、研究成果を国際海事機関(IMO)第2回危険物、固体貨物及びコンテナ(DSC)小委員会へ発表する。
 [2] 液状化物質試料のサンプリング毎の粒度構成のばらつきについて新たに追加検討することになった。
   第2回液状化物質Ad hoc部会において、DSC2への提案文書のドラフトを作成した。
(3) 第3回液状化物質Ad hoc部会及び第2回液状化物質検討部会
 [1] 第3回液状化物質Ad hoc部会
   国際海事機関(IMO)第2回危険物、固体貨物及びコンテナ(DSC)小委員会への「物質の液状化危険性評価」に関する提案文書(案)を最終化し、当会IMO対応委員会における審議承認を経て、運輸省IMO・DSC小委員会担当課へ提出した。
 [2] 第2回液状化物質検討部会
   本調査研究の最終報告書(案)が検討され、取りまとめの作業を行った。
   主な検討結果は次のとおり。
  a.報告書の付録として「物質の液状化危険性評価」に関する提案文書及び「BCコード付録A改正」に関する提案文書並びにDSC小委員会の結果を添付することになった。
  b.報告書の各章・節の担当を各委員に割り振り、次回検討部会までに各自担当個所再度見直し、訂正が必要な場合事務局まで連絡することになった。
(4) DSC2へ浦部会長が出席し、研究成果を発表した。
(5) 第3回液状化物質検討部会及び第2回特殊貨物運送部会において、研究内容の報告書を完成させた。

■事業の成果

本委員会の3年間の研究成果は、国際海事機関(IMO)の第2回DSC小委員会へ提出されたDSC2/12/1及びDSC2/12/2の2つの我が国提案文書に集約されている。すなわち、前者は、液状化物質であるかどうかの判定方法の開発であり、後者は、記述のあいまいなBCコード付録Aの記述の適正化である。
 [1] 固体ばら積み貨物の液状化可能性判定試験法
   「液状化物質でない」ことを判定する手法を開発することが本委員会の最大の目的である。このために2つのアプローチを採用している。すなわち、粒度から考える方法と保水性から考える方法である。
   これらの判定方法は、すでに規定されている液状化物質を、「液状化物質でない」と判断しないことを確認している。また、判定基準は、安全側に策定されている。その点で、新しい計測法として十分なものと考えられる。しかし、あくまでも輸送実績を勘案して決定されているので、十分な実績に基づいてその良否を問うことが今後の課題である。
   本試験法は、1997年2月24日〜28日に開催されたIMOの第2回DSC小委員会において、我が国提案(DSC2/12/1)の文書として提出した。具体的には、開発した手法をMCS Circularとしてばら積み輸送関係者に回章しようとする提案である。しかし、この内容は極めて技術的なものであるので、検討するのに時間を要するという考え方から、各国が持ち帰り、1998年2月に開催されるDSC3において改めて議論することとなった。
 [2] BCコード付録Aの改正
   液状化物質については、その物質名をBCコード付録Aに記載登録し明確化することがこれまでのIMOのやり方であった。しかし、付録Aの物質名は、輸送に関連する業界の多様性もあって、必ずしも統一のとれた標記にはなっていない。そこで、付録Aを全面的に書き換え、より分かりやすい表形式とすることが本委員会での重要研究項目となっていた。すなわち、誤解のない貨物呼称を導入し、また、付録B、付録Cのように、内容のある記述を含むような形式の開発を検討してきた。それが、最終的に、DSC2/12/2としてIMOに提案できる者として纏まった。
   日本案は、DSCの本会議において多くの参加国からの賛同を得た。これは、過去約30年以上にわたって付録Aは据え置かれており、なんらかの対応が必要であるとの認識が各国にあったからである。付録Aの変更は、たいへん根気のいる作業であり、我が国の努力、すなわち本委員会の作業がたいへん貴重なものであることを意味している。IMO本会議の席上、議長から日本に対して謝辞が述べられ、これをE&Tグループに渡して、Draft案とし、次回DSC小委員会において決定することになった。





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