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■事業の内容

(1) 高速船の調査
 [1] 高速船の調査
   就航している高速船の仕様、配置、要目等を調査し、現状の高速船の能力を明らかにした。
 [2] 高速船及び物流の実態調査
   高速船の設備、運行状況、乗心地、騒音等について実態を調査した。調査航路は3航路(八幡浜〜臼杵、博多〜巌原、大阪〜徳島航路)。
   また、併せてカーフェリー及びRO−RO貨物の物流の現状等を調査した。調査区は北海道及び九州地区。
(2) 軽量化中型高速フェリーの基本設計
  高速船の調査結果を基に主要目を決定し、基本設計を行い、高速船コードを適用し、またPL法を考慮し、併せて採算性計算を行った軽量化中型高速フェリーの基本設計を作成した。
(3) 軽量化中型高速フェリーの船型開発
 [1] 回流水槽試験
   数値理論計算により模型船線図を作成し、抵抗試験、船尾改良抵抗試験、船側波形、最適トリム抵抗試験、ビデオ観察の回流水槽試験を行った。
 [2] 曳航水槽試験
   回流水槽試験船型のうち1隻について抵抗試験、船側波形、インテーク付近の流場計測の曳航水槽試験を行った。
 [3] 船型開発推進指導
   船型開発委員会の決定に基づき、船型開発の手法及び考え方の普及のための指導を旭洋造船(株)にて行った。
(4) 軽量化中型高速フェリーの耐航性能
  波浪中抵抗増加及び船体動揺応答理論計算を行った。

■事業の成果

本事業は2カ年計画の初年度にあたり次年度最終成果が得られるが、本年度の事業を実施した結果以下の成果を得た。
 本計画船の主要目を
 L×B×d×GT=115mm×14m×5m×2,300トン
として、載貨重量(DW)600トン、ペイロード500トン(12mシャーシー換算25台搭載、旅客定員数272名)、航海速力30ノットの中型高速フェリーについて以下のとおり基本計画を行った。
 [1] 高速に対処するため船体を復原性に許す範囲においてスレンダー形状とした。
 [2] 搭載対象車両を貨物重量の重い12mシャーシを想定したことから、波浪条件等を考慮し、排水量船型とし、船殻重量、機関重量等の軽量化を図った設計とした。
 [3] 想定航路長を約200海里、航海速力30ノットとして所要時間約7時間を想定した。
 [4] 推進方式をウォータージェット(WJ)方式を採用したことにより、プロペラ方式に比べ低振動・低騒音となり、また操船性が向上する等のメリットを期待できる。
 [5] 船首側面形状をホエール・バック・バウ(クジラの背型形状)としたことにより、通常のフレアー・バウに比べ荒天運航時甲板海水打ち込み等の耐航性能が向上する等のメリットを期待できる。
 [6] 中型高速船の船型開発を実施し、航海速力30ノットを達成する高速船艇の基本船型を開発することができた。
 [7] 次年度最終目標に対して開発の目途を立てることができた。





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