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■事業の内容

(1) 研究開発
 [1] 低床バスのコストの分析・技術開発
   国内の中規模以上のバス事業者に対して計2回のアンケート調査を実施して、ノンステップ・バス車両の具体的な仕様等を調査分析した。また、バスメーカーへのヒアリング調査等に基づき、低床バスの価格提言可能性について検討した。
 [2] 車両構造の人へのやさしさの評価基準の策定と研究
   輸送媒体の乗客へのやさしさの評価基準について調査・研究した。
   バスの模型を製作し、高齢者や車椅子等の利用に対応した乗降性についての実験を行う検討した。
 [3] 最適仕様値の導出と今後の課題
   上記の検討結果等を踏まえて、低床バスの仕様値を検討するとともに、必要な技術開発課題等を抽出した。
(2) 調査検討
 [1] 低公害バスの現状調査
   欧州と米国のバス事業者やバスメーカー等に対して訪問ヒアリング調査を実施して、低公害バス、次世代バス、及び先進的交通システム等への取り組み、技術開発動向等についての調査を行った。
   また、ドライビングシミュレータを製作し、運転方法等による低公害バスの排出ガス量等の評価を行った。
 [2] 及びc.次世代バスの基本コンセプト及び技術開発項目の検討
   海外のメーカーやバス事業者に対する調査結果等をもとに、次世代バス車両、及びバスシステムの基本的なコンセプトと課題等について検討した。
 [3] 船舶等交通機関への適応に関する検討
   船舶・ターミナル設備における「人へのやさしさ度」を評価するために、実態調査を行い、適応に関する検討を行った。
(3) 報告書作成
  本事業の成果を報告書に取りまとめた。
   ・規 格   A4版
   ・数 量   100部
   ・配布先   委員会委員、官庁、関連団体等、他

■事業の成果

本事業は、船舶等交通機関の乗降機能向上のため実施した。高齢者や障害者にとっての各交通機関のターミナルを結ぶ交通手段としてのバスの果たす役割が大きいことから、特に低床バスに焦点を絞って検討し、以下の知見を得た。
 バス事業者に取りまく社会環境変化(利用者の高齢化、地域の過疎化、交通環境問題対策等)に対応するためには、(1)人と環境にやさしいバスの導入促進、(2)利用者ニーズへの柔軟な対応(運航形態の改善等)、(3)バス走行条件の改善(定時制の確保)などが重要である。
 そのための技術的課題としては、例えば利用者ニーズに適応する車両の開発(低床・低公害バス、中・小型バス等)、公共交通全体の有機的連携を目指す総合交通システムの開発、バス運転手・整備士の高齢化への技術的対応等が重要である。また、低床バス導入を支援する補助金・税制優遇措置、及び道路施設・バス停などの交通環境の改善等の重要性も指摘できる。
 今後の公共交通機関にとってバスの乗降性改善は重要な要素であり、バス事業者の問題意識も大きいことから、低床バスの円滑な導入促進に向けられた何らかの助成措置や、交通インフラの改善などの総合的な交通環境整備が望まれる。またバスの低床・低公害化のための研究開発や、利用者ニーズに対応するための種々の技術開発の促進も重要である。
 船舶を含めた総合的な交通機関の乗降機能向上のためには、床のフラット化や商工機能の負荷等のハード的対応だけでなく、「人にやさしい交通手段」の利用案内の情報提供システムや運航形態改善等のソフト的対応、及び公共交通善意の有機的連携を目指す総合的対応が重要である。





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