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■事業の内容

超電導電磁推進装置の高出力化に関する調査研究課題について委員会において審議・検討を行い、下記の研究課題について調査研究を実施した。
(1) 実施内容
 [1] 永久電流スイッチ素子の開発
   「Nb3Sn永久電流スイッチの開発」について(財)鉄道総合技術研究所と委託契約(契約金額:25,000,000円、契約日:H8.8.27)を締結し、3000A級Nb3Sn永久電流スイッチの開発を行い、平成9年3月14日に納入された。
 [2] 高磁界用磁石の性能向上等に関する調査研究
  a.「Nb3Sn超電導線材の設計製作」について、日立電線(株)と請負契約(契約金額:5,700,000円、契約日:H8.11.6)を締結し、同線材の設計製作を行い、平成9年2月13日納入された。
  b.Nb3Sn巻き線技術の開発
    「Nb3Sn巻き線技術の開発」について、高エネルギー物理学研究所と共同研究契約(共同研究科:412,000円、契約日:H8.12.20、共同研究開始日:H9.1.8)を締結し、同開発についての共同研究を行い、Nb3Sn超電導線材の特性試験及び実験用超電導コイルの製作を行った。
  c.超電導技術に関する開発情報の調査
    海外の超電導電磁推進船の開発動向調査及び高磁界磁石用超電導線材の開発状況についての講演会を開催した。
   ・海外における超電導電磁推進船及び超電導技術の開発動向調査
     米国ピッツバーグ市で行われた「1996年応用超電導会議」に出席し、海外における超電導技術の現状調査及び情報の収集を実施した。
会議名  1996 Applied Superconductivity Conference
          (1996応用超電導会議)
     開催日  平成8年8月25日〜8月30日
     開催場所 David L.lawrence Convenyion Center Pittsburgh, Pennsylvania, USA
     参加者  1名
   ・高磁界磁石用超電導線材の開発動向について
     講演題目 Nb3Al超電導線材の開発動向について
     講演日  平成8年12月10日
     講 師  1名
 [3] 委員会の開催(4回開催)
   開催日及び主な審議事項
   〇第7回 平成8年5月16日(水)
    1)平成8年度事業の実施計画について
    2)平成8年度事業の事業実施計画(案)について
   〇第8回 平成8年8月20日(火)
    平成8年度事業の事業実施経過について
    ・Nb3Sn巻線技術の開発
    ・3000A級永久電流スイッチの開発
   〇第9回 平成8年12月10日(火)
    ・Nb3Sn巻線技術の開発
    ・3000A級永久電流スイッチの開発
   〇第10回 平成9年3月5日(水)
    1)平成8年度事業の事業実施経過について
    ・Nb3Sn巻線技術の開発
    ・3000A級永久電流スイッチの開発
    2)平成8年度事業実施計画(案)について


■事業の成果

超電導電磁推進船「ヤマト<1>」の実海域における航走実験の結果、超電導電磁推進装置が船舶の推進装置として使えることが実証された。しかし、その実用化のためには、高磁界・大口径超電導磁石の開発を初めとして、励磁システムや冷凍システムなど開発すべき技術課題が数多くある。
 本年度は、それらの課題の内、「Nb3Sn巻線技術の開発」と大電流用「Nb3Sn永久電流スイッチの開発」について調査研究を行った。「Nb3Sn巻線技術の開発」では、Nb3Sn超電導線材を設計製作して線材の特性試験を行い、平成7年度に製作した超電導コイル巻線機により実験用コイルを製作し、Nb3Sn超電導線材の巻き線法の調査を行った。
 また、「Nb3Sn永久電流スイッチの開発」では、10,000A級大電流・高安定性永久電流スイッチの開発を目指し、平成7年度にはその第一段階として1,000A級「Nb3Sn永久電流スイッチ」の製作を行ったが、その第二段階として3,000A級「Nb3Sn永久電流スイッチ」の開発を行った。本事業における成果は次のとおりである。
(1) Nb3Sn巻き線技術の開発 
  高磁界用超電導コイルに用いられるNb3Sn超電導線材の巻線による性能劣化の原因を究明するため、Nb3Sn超電導線材を設計製作して線材の通電試験等の特性試験を行い、Nb3Sn超電導線材の性能を明らかにした。
  また、昨年度製作したコンピュータ制御による超電導コイル巻線機を用いて、Nb3Sn実験用コイルの巻線を行った。今後、米国カリフォルニア大学ローレンス・バークレー研究所の高磁界発生装置を用いてコイルの性能試験を行う予定である。これらのことにより、形状および巻線条件等を変えた種々の実験用超電導コイルの製作および高磁界実験装置による通電試験を効率良く行うことができ、Nb3Sn超電導コイルの性能劣化原因の究明が促進される。
(2) Nb3Sn永久電流スイッチ
  永久電流スイッチの大電流化および安定性の向上を図る目的で、Nb3Sn超電導線材を用いた3,000A級永久電流スイッチの設計製作を行い、通電試験および加振試験等を実施した。その結果、静的通電試験(磁界:1.0テスラ、通電電流:3,000A)および加振試験(磁界:1.5テスラ、通電電流:2,000A、周波数:5〜33Hz、振幅:1mm)において仕様どおりの性能確認ができ、大電流通電におけるNb3Sn永久電流スイッチの安定性が確認できた。
  また、仕様を上回る過酷な加振試験(磁界:1.5テスラ、2,000A、周波数:180Hz、振動加速度4G)においても十分な安定性があることが確認できた。これにより、Nb3Sn超電導線を使用した永久スイッチの優位性が実証できたと共に、通電電流:10,000Aを目標とした大電流永久スイッチの見通しを得ることができた。





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