■事業の内容
(1) 低成長期における企業の人事制度の抜本的見直しに関する調査研究 [1] 調査の内容 a.就業・雇用数の動向 b.新規学卒者の採用状況 c.非常用労働者の状況 d.雇用調整の実施状況 e.人件費総額の動向 f.退職給与のコスト問題 g.業績評価と賃金格差に関する施策 [2] 調査の対象 東京証券取引所第一部上場企業を中心とする1,071社(回答313社) [3] 調査の方法 実施調査 71社 通信調査 1,000社 合計1,071社 [4] 調査研究の結果報告 「将来あるべき人事管理を考えるための基礎調査」(平成8年度) 低成長期における企業の人事制度の抜本的見直しに関する調査研究−報告書 (2) アジア諸国の公務員制度に関する調査研究 [1] 調査研究の内容 a.概説 b.公務員の意義・範囲・分類 c.中央人事行政機関 d.任用 e.研修 f.給与 g.勤務時間、休暇、その他の勤務条件 h.服務規律、懲戒 i.退職金、年金 j.その他 k.3国比較対照表一制度要点、歴史 [2] 調査研究の結果報告 「アジア諸国の公務員制度に関する調査研究報告書」(平成8年度)
■事業の成果
(1) 低成長期における企業の人事制度の抜本的見直しに関する調査研究 わが国経済は、バブル崩壊以降、経済企画庁の景気底入れ宣言の後も本格的な景気回復の明るい見通しは仲々見えてきていない状況にある。確かに平成8年度は、円安と超低金利の効果で企業収益の改善がなされたことはあるが、この先平成9年度に予定される消費税引き上げと緊縮財政政策のデフレ効果を乗り越えた後も、なおそれが確かなものとなることが今は何よりも期待されている。そして実際このためには、これからの国際環境の動向を踏まえて、国内の構造改革を積極的に行い、高コスト体質を改善していく以外に道はないのである。 現実には、その方向で各企業において着実な合理化が進められているが、この局面における企業経営に共通した最重要テーマは、雇用と賃金ということになり、人事・労務部は構造改革期特有の骨身を削って企業経営を背負う役割を、ここ当分は、改革の実効性が確実になる日まで遂行していかなければならないものと考えられる。 本調査は以上のような情勢の認識の下に、各企業が進めてこられた最近の施策又はその結果としての就業・雇用数の状況、新規学卒者の採用状況、非常用労働者の状況、雇用調整の実施状況、人件費総額の動向、退職給与のコスト問題及び業績評価と賃金格差に関する施策について、現状と今後の施策の方向を把握し、今後の人事管理施策の樹立に資することを目的として実施した。 この結果、企業における人事管理諸策の貴重な情報が数多く得られた。これらの情報は、厳しい現状の下で人事管理の業務に努力されておられる企業及び公務部門の方々にも役立つものと考える。 なお、本調査の報告書は、各省庁、経済団体、調査協力企業のほか研究機関等へも送付することとしており、また、他日新聞発表を予定しているが、過去の例によれば例年大きく報道されて社会的反響が極めて大きいことから、本年もこの分野において社会に寄与するものと考えられる。 (2) アジア諸国の公務員制度に関する調査研究 わが国の国際的地位の向上とともに、行政の公正かつ能率的運営の基盤となっているわが国の公務員制度に対する国際的関心が近年ますます高まっており、アジア開発途上諸国を中心に、海外から500人以上の来訪者がわが国の公務員制度を調査研究しに訪れている。しかし、これら開発途上国の公務員制度については、参考文献も少なく、その詳細について充分に把握されていない実情にある。従って、これら海外からの来訪者・関係機関などに対し、適格な助言・指導を行うにあたって、少なくともわが国の属するアジア諸国を中心とする開発途上国の公務員制度の実態等について調査研究し、今後の途上国支援の基幹的資料とするものである。 なお、本年度は、シンガポール、マレーシア及びフィリピンの3ヵ国の公務員制度を調査研究した。この調査研究結果は、各省庁、附属研究所、大学図書館及び研究所等へ配布し、人事管理施策の資料として、また、学生等の教材として、企業、官公庁をはじめとした官民各層の利用に供するものである。
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