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■事業の内容

(1) シンポジウム
  シンポジウムは1996年11月7日、午後1時から6時まで、東京全日空ホテルで開催された。約300名が参加した。
 シンポジウムのテーマ「東アジアの成長と交流を支える運輸インフラの整備の現状と課題」

 第1セッションには東アジア10ヶ国(日本、ブルネイ、中国、インドネシア、韓国、マレイシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ヴィエトナム)の運輸次官がパネリストとして参加した。

  ・サブテーマ「陸上交通機関の整備」
  
  ・基調講演「交通整備が日本の社会経済に与えた影響 −鉄道に焦点をあてて−」

  ・パネルディスカッション
   「経済成長に伴い、都市集中、モータリゼーションが急速に進展している東アジア諸国がどのように対応していくのか」

 第2セッションにはパネリストとして、中国、インドネシア、マレイシア、タイから空港又は港湾の実務責任者及び日本から森地教授が参加した。

  ・サブテーマ「空港及び港湾の大規模プロジェクト」

  ・基調後援「東アジアにおける空港及び港湾の大規模プロジェクトの展望」

  ・パネルディスカッション
   「空港、港湾整備の課題とネットワークとしての運輸インフラの未来」

(2) 歓迎懇親レセプション
  シンポジウムの一環として、意見交換と相互交流を深めるため、歓迎懇親レセプションが開催された。運輸省関係団体等からも多数の関係者が参加して、300名近い参加者により各国の運輸次官やパネリストを中心に活発な国際交流が行われた。
  来賓を代表して戸矢博道 運輸審議官から、東アジアの運輸関係者の相互交流がこれを機械に益々発展することを記念する旨のご挨拶があった。

(3) 阪神・淡路大震災による運輸施設の被害及び復興状況等の現地視察
  11月8日、運輸省戸矢博道審議官を含む東アジア各国の運輸次官一行は、東京駅の新幹線中央司令所を訪問し、新幹線についての説明を受けた後、同施設を視察し、新幹線に搭乗した。京都では二条城や桂離宮等の日本文化を視察した。神戸は市内と神戸港を視察した。又、近畿運輸局次長から大震災による鉄道関係の被害及び復興状について、又、第三港湾局長から神戸港の状況についてそれぞれ説明を受けた。
  11月9日は関西国際空港を視察し、それぞれ帰国した。
■事業の成果

(1) 近年、急速な経済成長を遂げている東アジア諸国は、経済社会の均衡ある発展を図ろうとして、人と物の交流を支える運輸インフラを整備するために、数々の大規模プロジェクトを計画しているが、運輸インフラの整備及び運営に関する技術やノウハウの蓄積が十分なうえに、資金の調達方法や費用負担あるいは官民の役割分担等について的確な考えがないままに進められている状況にあるところ、本シンポジウムにおいて、これら諸国と類似の自然環境を有し、運輸インフラの整備と運営に関する豊富な経験と高度の技術を有する我が国から、これら諸国に対して運輸インフラの整備に関する日本に経験を紹介することは、東アジア諸国にとって極めて重要なことであり、今回のシンポジウムにおいて、当該国の関係者、それも政策担当者や実際の担当者から直接情報提供を受け、かつ、議論に参加する機会を提供できたことは、極めて有意義であったと思料される。

(2) また、運輸インフラプロジェクトに関する国際協力の推進にあたっては、国内においても直接の関係者のみならず、関心を有する有識者一般に対しても、東アジア諸国の運輸インフラの整備についての正確な情報と将来に対する展望を与えることが必要であることから、極めて有意義であったと思料される。尚、シンポジウムには約300名が参加した。

(3) さらに、東アジア10ヶ国の運輸次官クラスの最高政策担当者と運輸インフラプロジェクトの実務者が参加し、我が国の官民の関係者と共通の関心事項について意見交換を行い、相互交流を行うことができたことは、各国のハイレベルの担当者間の親密な関係が醸成される機会となり、我が国を中心とした新しい協力関係が構築されるものと期待される。

(4) シンポジウムの一環として行われた懇親レセプションでは、200名を超える参加者が相互の交流を深めることができ、国際協力が一層促進されるものと思料される。

(5) 東アジア各国の要人が我が国の新幹線技術を視察し、阪神淡路大震災の被害状況と復興状況を視察できたことは、我が国の技術や経験を紹介するよい機会であったと思料される。





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