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■事業の内容

(1) 調査分析
  現用救助艇の運用形態、救助方法、性能、構造、管理、運営方法等について、アンケート調査、聞き取り調査、走行性能調査等を実施し、これを分析して要求性能を設定した。
(2) 予備計画
  要求性能を満たす救助艇開発のために次の基本計画を行った。
 [1] 水槽試験用模型の船型基本設計
 [2] 救助方法または装置の基本計画
 [3] 推進装置の基本計画
 [4] 操舵装置システムの基本計画
 [5] 救助機器類の開発計画
(3) 模型による水槽試験
  試作艇の船型を決定するために以下のように模型船による水槽試験を実施し、性能を評価した。
 [1] 船型模型の製作:現用艇型(A船型)、カラマラン型(B船型)、モノハル型(C船型)
 [2] 水槽試験:抵抗試験、艇の走行姿勢の計測、曳き波の計測
(4) 試作艇の基本設計・詳細設計
  以上の検討結果を踏まえ、5種類の一般配置を提案し、作業性、外観等から長短を検討した。船艇の基本設計及び艇体、推進装置、操舵操縦装置、救助器具その他試作艇の製作に必要な詳細設計を行った。
(5) 試作艇の製作
  次の手順で試作艇艇体の製作、及び艤装・組立工事を行った。
 [1] 艇体オス/メス型の製作
 [2] 試作艇艇体の外板積層
 [3] 甲板オス/メス型の製作
 [4] 甲板の積層
 [5] 上部構造オス/メス型の製作
 [6] 上部構造の製作
 [7] 各種艤装部品と担架の製作
 [8] 艇体、甲板、艤装品の組立
 [9] ウォータージェット・ユニット取付
 [10] 制御システム装置、及びジョイ・スティックの取付

■事業の成果

(1) 本事業の成果
  本事業は小型救助艇の性能や構造を改めて見直し、高性能化を目指した小型救助艇の開発を行う目的で実施した。
  現用艇の走行性能調査により、現用艇の性能を把握できた。また、アンケート調査、及び聞き取り調査、救助の模擬テストにより、現用艇の運用方法や救助艇に求められる要件を把握できた。この要件に基づき、艇体計画の要点をまとめ、推進器については安全性重視の観点からウォータージェットを採用し、救助作業中の操船性向上のためにはジョイスティックを採用するなど、高性能化を具体化する施策艇の仕様をまとめた。
  船型については水槽試験を実施し、曳き波が小さく、航走トリムが小さく、デッキが広くて作業性が良く、安定性の良いカタマラン型を選定する一方、この船型に適した一般配置等の基本設計、詳細設計を実施し、製作図面を作成した。ウォータージェット推進器については、当該推進器を既存の艇に装備して走行試験、耐久試験等を十分に実施し、性能と信頼性を確認した。推進・操舵の制御システム装置についてシステム構成を設計した。
  以上に基づいて試作艇の製作を行い、これを完成させた。





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