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専門講話

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貨物輸送の98%は海運が支える日本は船腹量は世界で6番目

運輸省海上技術安全局検査測度課 宇山和夫

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日本は周りを海に囲まれた資源が乏しい国です。そこで原材料を輸入し加工して輸出し、経済を成り立たせてきました。
そんな日本にとって、船は大変重要な輸送手段なわけです。船は、一度に大量の貨物を輸送できるのがその一番の利点でしょう。一年で7億トン強の貨物が輸送されている中で、その98%が船で運ばれています。、その6割くらいが鉄鉱石や木材、穀物といった乾貨物で、残りの4割が石油などの液体貨物です。
日本の船腹量は世界で6番目にあげられています。上位にはリベリアとかパナマとかキプロスがいますが、実際にはこの国で動かしているわけではなく、船に関する税金が安かったり、経費が安かったりするので、とりあえず形だけこの国の籍にしているわけで、実質的には日本はトップクラスに入っています。
世界で一番大きな船はといいますとノルウェーのオイルタンカーで長さが約約440メートル、幅が70メートルあり、一度に運べる油の量が55万トン。この量を学校の25メートルプールに換算すると約1千百個分にも相当します。大きさだけで比較するとこのふじ丸の約2・5倍の大きさになります。
船の名前に何々丸とついていますが、これには諸説あり、昔大切なものにマロとつけたのが丸に変わったとか、占いから丸が縁起が良かったとか、商店の屋号からきたとかいろいろあるようです。
このふじ丸は平均速度が約30キロメートルくらいです。陸上の乗り物に較べるとゆっくりしていますが、そのへんが船の旅行の良いところではないでしょうか。(抜粋)

わずか12歳の女の子が地球の危機を訴えた世界に広がる愛華ちゃんの熱いメッセージ

地球環境平和財団事務局常任顧問 重本勝弘

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現在、環境問題は大変厳しい現実を迎えています皆さんの身近かな問題であるゴミをとっても、例えば危険な産業廃棄物さえ勝手に捨てられたりもする。千葉県は財政の5分の1をゴミのために使っています。東京はその千葉にお世話になっているといった次第です。どこでもゴミで首を絞められていく状況です。その一方、中国や東南アジアでは産業が急速に発展してきています。汚染された空気は酸性雨となって降ってきます。もう、民族や国境といった枠は関係なくなっているのです。
地球的規模で取り組まないといけない問題であり、時代であると思わずにはいられません。この現実をみんなにわかってもらうためには何をしたらいいだろうと考え、国連環境計画という機関ともつながり、元々、自然を大事に思う日本人の考え方を広めようと思ったのです。国境を超えてみんなが協力し合って仲良くやっていけば自然環境は救われると考えたわけです。海を救おうといったキャンペーンも行いました。
そんな時、小学校6年生の坪田愛華ちゃんが描いたこの『地球の秘密』に出会ったんです。本当にショックでした。この『地球の秘密』の本は、「生命は、海で生まれた。その海がピンチなんだ!」と、地球の歴史から環境問題を取り上げているのです。これまでにこんな本は一冊もありませんでした。
環境問題について担任の先生から与えられた課題を、図書館に通ったり、先生に聞いたりして、愛華ちゃんは得意のマンガで描きました。
46億年前の地球の誕生に始まり、海ができ、らんそう類が生まれ、魚が生まれ、植物ができ、恐竜時代となり、猿人が生まれ、旧人、新人となった。今の地球上の動植物は「先祖はみんな同じ!」という地球の歴史を説き、地球上の生きもの、自然界のバランスを描いているのです。そして現在の地球は、自然破壊が進み、環境が汚染され、危機がせまっていると訴えているのです。
愛華ちゃんは小学校4年生の時に自分の歴史。自分史を作っています。その題名は「地球」でした。地球は、木や鳥や海やいろいろなものを持っている。そして人間を育てている。そういうたくましい地球のような人になりたい、と書いています。
自然がつくったものに何一つ無駄なものはありません。私たちも木も動物も命は一つです。「地球の秘密」というのはそういうことなのです。
二か月あまりで本を書いた愛華ちゃんは、感想を書き終えた数時間後に脳内出血で亡くなりました。遺作となった『地球の秘密』は、ご両親が本にして50部印刷し、配りました。読む人に大きな感動を与え、その後、英語、中国語、アラビア語などに翻訳され、世界中の人々に読まれ、国連環境計画が世界で環境問題に貢献した人に贈る「UNEPグローバル500賞」を受賞しています。(抜粋)

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