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この『少年の船』には、総務庁、運輸省、外務省の方々が講師として一緒に乗船しています。「専門講話」では、普段なかなか聞くことができない貴重なお話をうかがうことができました。

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多くの伸びが予想される青少年のボランティア活動

総務庁青少年対策本部企画調整課
木村友二
近来の日本は経済的に恵まれてきたこともあり、人々の意識は物から心の豊かさを求めるようになってきています。
ボランティア活動は、自分のできることを通し、人や社会に貢献することですが、この活動は自分のためでもあるのです。
13才から25才の青少年のボランティア活動について平成6年度の報告によりますと、まず、「ボランティアのイメージ」については、困った人を助ける、社会の役に立つ、思いやりのある、といったところですが、「体験」については5%の人がしていると答えており、67%の人はまったくしたことがない、と答えています。
しかし昨年起きた阪神大震災の時には、全国から三か月で百十七万人の人がボランティアに参加したといわれ、年齢層は10代と20代を合わせると7割以上になり、若い人たちが中心になったことを示しています。
次に、「ボランティア活動と学業や仕事が両立できるか」の質問には、体験者は両立できるという人ができないという人を大きく上まわっており、逆に未体験者は両立できないと思っている人の方が上まわりました。一度でも活動に参加した経験者は両立は難しくないとと思っているようです。
活動を行う際の問題としては、学校や仕事が忙しい、情報が不足している、活動に要する技術や知識がない、といったところが総体的な意見でしたが、これについても未体験者の意見が上まわり、体験者では特に問題がないと答えた方が37%いました。
さて、「満足度」については、満足している者が65%に上り、その理由は、地域のために役に立った、と答えた人が最も多く、逆に満足しなかった理由には、自分の思う通りの活動ができなかったからの答えが多く、質を求めたといえるのでしょうか。
活動分野について、自然や環境を守ると答えた人が最も多く、これにはゴミや空缶回収といったものも含まれますから、この程度のものでしたら皆さんも明日から始められるのではないでしょうか。(抜粋)

まず笑顔で話しかけてみる小さなところから理解が…

外務省文化交流部文化第二課
高橋洋子

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外務省というのは、外交の事務を取り扱っているわけです。外国には在外公館といって世界中に181か所の大使館や総領事館があります。大使館というのは、その国の首都にあって、その国に対して日本を代表するものをいいます。
総領事館というのは、それ以外のものでアメリカを例にしますと、ワシントンに大使館があり、ニューヨークやロサンゼルスなど16か所に総領事館があります。これから行くグァムにはアガナ総領事館があります。大使館にはその国にいる日本人の保護という大切な役目もあります。皆さんが外国に行って何かトラブルにまきこまれた時は最寄りの在外公館に行げば何かの役に立てると思います。最近、海外に足を伸ばすのはそんなに珍しいことではなくなってきました。告さんのように中高校生でグアムやサイパンに行ける時代です。外国に行けばもちろん言葉も違えば食べるものも、習慣も違います。今回は短期の滞在で、表面的な違いしか経験できないと思いますが、少しずつその経験を積んで、外国人の考え方を理解していけばいいと思います。日本人がたくさん外国に行くように、現在日本にも外国の人がたくさん来ています。私は昨年ブラジル日系人の留学生を担当していたのですが、彼らの顔は日本人とまったく変わりませんし、日本語も上手ではありませんが話すことができます。それでも日本の学生の友だちができない、といいます。どうしてと聞くと、日本人は日本人同士で固まっている、だから自分たちも仕方なく留学生だけで話をしていると悲しそうにいうんです。多分日本の学生たちも差別したり嫌っているわけではないと思うんです。言葉がうまく話せないとかで、お互いにうまくコミュニケーションできないんです。ちょっと寂しいなと思いました。戦後50年以上も経っているのに、いまだにその頃のしこりが残っていて、日本は経済的には豊かであるけれど、外国、特にアジアの国々からは本当に信頼されているとは言い切れません。外国人にとって今の日本は決して住みやすい国ではないと思います。皆さんは身近かにいる外国人に気軽に話しかけてください。笑顔で挨拶を交す、そんな少しのことから理解が始まると思います。
(抜粋)

ふじ丸も気象観測にひと役膨大なデータで天気予報が

運輸省運輸政策局海洋室
上井(うわい)哲也

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船に乗っての関心事はというと、食事と遊びと天候の三つだと言われます。今、船酔いをしている人にとっては、最大の関心事は天候と船の揺れかもしれません。
テレビのお天気番組などでおなじみの通称「アメダス」とは雨が降る場所を出す、からアメダスというのは、当たってはいますが本当ではありません。
地域気象観測システムの英語名Auto−mated Meteorolojical Data Acquisiteion Systemの頭文字をとって、「AMeDAS」と呼んでいます。全国1300か所の観測点を電話回線で東京の気象庁と結んでいます。
アメダスは無人ですが、全国約160カ所の気象台あるいは測候所では、人が定時に決まった方法で実際に観測をしています。
大気の状態を知るためには、地上だけでの観測で充分とはいえません。当然上空の観測も必要になってきます。
現在の天気解析・予報は、地球の緯度、経度、そして高さを幾層にか網目のように分け、その交差する点での状況をスーパーコンピューターで分析します。
地球の面積の7割は海です。海上での観測も当然行われていますが、気象庁にはブイロボットが4つ、観測船というとわずか6隻しかありません。
そこで一般に航行している世界中の船にも協力してもらい定時にデータをもらうようにしているのです。このふじ丸からも、航海士の方が行った気象観測が気象庁に通報されています。陸上に較べて海の上にいる船のデータは非常に貴重です。
地上、上空、海上のデータが集まって始めて気象予報が出されるのです。
(抜粋)

 

 

 

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