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第19回B&G『少年の船』Aグループ1996.7.22〜29

ご挨拶
財団法人ブルーシー・アンド・グリーンランド財団会長苫米地行三

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この海外体験航海事業の目的は、全国の中・高校生を対象に洋上研修や寄港地であるグアム・サイパンでの様々な活動を通じて、海に対する理解を深めてもらい、また、生活を共にすることで団員相互の友好を築くなど、日本の将来を担う少年・少女たちに貴重な体験をしていただくことにあります。
船は一つの孤立した社会であり、“運命共同体”と言われるように、乗組員一人一人がお互いに協力し合いながら、自分の役割を遂行することによって初めて動くものであり、一人一人が勝手な行動をすれば動かなくなるばかりか、乗船者全員の命にも関わることとなり、正に“運命”を“共にする乗り物”であるといえます。
このように、船という限られた生活空間の中では連帯と協調の精神、助け合いの精神がいかに大切なことであるかを、この航海を通じて皆さんに実際に体験していただいたわけで、皆さんは大変貴重な経験をされたことになります。
また、寄港地であるグアム・サイパンでは、日本とは違った気候や風土、歴史、文化などを肌で感じ、さらに日本とグアムの青少年たちがレクリエーションやゲームを通じて直接交流を図るなど、皆さんにとっては普段なかなか体験できない、大変良い経験になったのではないでしようか。
第19回目の今回は、A・Bグループ合わせて25人の在日インターナショナルスクールの生徒も参加、初めはお互いに名も知らぬ者同士であった日本の団員たちとも、約1週間にわたる生活を共にするうちにすっかりうち解け合い、友情の輪も大きく広がったようです。
本年7月20日が初めて国民の祝日「海の日」となり、また、海洋環境保全が全人類・全地球規模の課題となっている今日、この体験航海事業を通じて一人でも多くの少年少女たちが、海を知り、そして海を守って行くことの大切さを理解していただければと願っております。
最後に、第19回B&G『少年の船』を無事終了することができましたのも、ひとえに運輸省、外務省、総務庁、大蔵省、東京税関並びに日本財団など、多くの関係者の皆様方のこ支援ご協力の賜物と厚くお礼申し上げます。

 

第19回B&G『少年の船』Aグループ団長 若松亮任

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7月22日第19回B&G『少年の船」は502名の少年少女たちの期待と夢を乗せ、晴海埠頭を出航しました。洋上360度水平線が広がるなか、団員の皆さんには様々な研修に参加してもらいました。
今回は、特に在日インターナショナルスクールの生徒も参加、国籍を超えた友情を育むと共に、文化交流の架け橋として活躍してもらいました。
この体験航海は、ご両親から離れ、規律正しい生活態度を求められる研修に大変忙しい毎日だったと思いますが、一週間の共同生活を通じ、皆さんには社会生活におけるルールの大切さを学び、互いに協力し助け合うことの大切さを実感してもらえたことと思います。
少し不安げな眼差しで航海に参加した皆さんが、サイパンヘ到着する数日の間に仲間から多くのことを吸収し、大海に鍛えられ、日に日に逞しくなっていく様を見て、日本の若者はまだまだ輝きを放っているな、と大変安心いたしました。
思春期のような感受性の強い時期に、その可能性を伸ばす機会として多くのことを体験されるのは大変重要なことです。
航海中は、各種の講話を始め、手旗やロープワークなど様々な研修を通じて海事知識の習得に努めました。また寄港地グアム・サイパンでは、好天には恵まれなかったものの、カヌーを始めとするマリンスポーツを美しい海で体験したほか、太平洋戦争の戦跡を見学し、戦争の悲惨さと平和の尊さを学びました。
そして国際交流活動では、グアム大学で地元の少年少女との現地交流会、また「ふじ丸」では交歓会を催し、皆さんは民間外交官として活躍してもらいました。
こうした普段学校では経験できない数々の貴重な体験が、これからの日本を担う皆さんにとって近い将来必ずや生かされ、今後の人生の種となってくれることと確信しています。そしてまた皆さんがこれらの経験を生かし、地球的な視野で連帯と協調の精神を育み、実り多い21世紀を築く一員となってくれることを願ってやみません。
最後になりましたが、第19回B&G「少年の船」が無事に、そして有意義に終りましたことをご報告申し上げますと共に、多くの関係者のご協力に深くお礼申し上げます。

 

 

 

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