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3.4 昇降路の構造

 

3.4.1 駅用エレベーター設備に求められる昇降路(エレベーターシャフト)の構造
駅用エレベーターのシャフトサイズは、旅客流動の安全上、できるだけコンパクトな形状寸法が求められることは、前年度の報告書の通りである。特に本委員会で開発を行う直角二方向出入口タイプのエレベーター本体は、電動車いすの自走による転回をエレベーター内かごのモックアップにより検証した結果からも、そのコンパクト化には限界があることが判明している。そこでエレベーター本体の開発と同時に、シャフト自体も在来工法とは異なる考え方でのコンパクト化をめざした新たな開発が要求されることとなる。さらに在来駅に設置し易いことを条件に加味すれば、エレベーターシャフトに求められる構造は以下の条件を満たすことが望ましいこととなる。
(1)構造体ができるだけスリムであること。
(2)搬入条件が悪い場合は簡単な道具を使用した人力による搬入も可能なこと。
(3)ホーム及びコンコース部分になるべく外部足場安全柵等の旅客の流動を妨げる設備を必要としないこと。
(4)施工に要する工期をなるべく短縮できること。
(5)在来工法に比べて全体的なコストは総合的に判断して妥当なものであること。
(6)直角二方向出入口タイプの駅用エレベーターのみならず、一方向あるいは貫通二方向出入口タイプの駅用エレベーターにも応用可能なものであること。

 

3.4.2 昇降路の鉄骨パネル構造化
前項に示す条件を満たすものとして短期に開発を行うこととすれば、剛性の高い面フレームを鉄骨で製作し、これを積み上げる方式が最も適していると考えられる。具体的にはエレベーターシャフトを分割し運搬可能なサイズ、重量とした鉄骨による単位ユニットをあらかじめ仕上げ材と一体に精度よく工場製作し、鉄骨パネルとして現場に搬入して積み上げ、ボルトを使用して内部から作業を行い一体化してエレベーターシャフトを構成する方法となる。
構造の呼称として鉄骨パネル構造とするが、基本的にはある程度剛性の高い筒を可能な限り薄い鉄骨の面フレームで構築し、エレベーターシャフトとして使用する物であり開発時点では表面仕上げ材には構造的役割はない。その意味では、パネル構造とするのは適切ではないが、将来のさらなる検討によっては、仕上材にも構造体としての役割を与え得ることから、敢えてそのまま用いることとした。

 

 

 

 

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