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3.1.2 開発エレベーターの基本仕様の考え方
既存駅舎に設置するエレベーターは、少なくとも次の要件を満たすことが望ましい。

 

(1)昇降路外法
エレベーターを設置したいコンコースやプラットホームは、エレベーターの昇降路を設置する為の余裕スペースが少ない場合が多い。
プラットホーム上に工作物を設置する場合、旅客の安全上、柱類はプラットホーム端部より1.0m以上、壁状のものは1.5m以上離すことが義務付けられている。
一方、プラットホームの幅は、両面使用の場合3.0m以上(端部では2.0m以上)、その他の場合2.0m以上(端部では1.5m以上)とされているが、通常では5〜6mの事例が多い。
利用面から考えて、比較的主要動線に近い所にエレベーターを設置する場合には、両面使用のプラットホーム幅が5mであれば、角形状の昇降路外法(プラットホームに直角側)は、2m以下にする必要がある。
又、コンコース上でも、階段(主要動線)付近に設置するケースが多いので、できるだけ昇降路外法は小さいことが望ましい。従って、昇降路外法は、ブラットホームと直角方向で2m以下、プラットホームの長手方向については2m以上になることはやむを得ないが可能な限り小さくする必要がある。

 

(2)ピット寸法
プラットホーム下部を線路面より深く掘削することは、線路防護上必要な措置をとる必要がある。このためには、多大な費用を要するので、実現困難と判断せざるを得ない。一般的には、線路面はプラットホーム面より1.1m下方にあるが、基礎の厚さを考慮して、ピット寸法は0.8m以下にする必要がある。

 

(3)オーバーヘッド寸法
一般的には、プラットホーム面あるいはコンコース床面から上部構造体までの垂直距離は3.5m程度である。既存の駅舎構造体を改造しないことを目指し、かつ、昇降路頂部の塞ぎや搬入スペースを考慮して、オーバーヘッド寸法は、3.25m以下にする必要がある。

 

(4)機械室
機械室の設置位置およびスペースは、昇降路外法、ピット寸法及びオーバーヘッド寸法の制限範囲内に納まるか、または、昇降路下部もしくはピットに隣接し小スペースにすることが望ましい。

 

(5)出入口寸法
車いす使用者の利用を配慮して、出入口幅は0.9m以上とする。これは、ハートビル法の誘導的基準を満たすものである。尚、出入口高さは、かご天井高さから勘案して、2.0m以上とする。

 

 

 

 

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