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第2節 移動制約者の概要
 
平成7年度の「アメニティターミナルにおける旅客案内サインの研究」では、「移動制約」の捉え方について、「一時的には、ほとんど全ての人々が移動制約者に成り得る。
さらに個人的には何らハンディキャップを持たないでも、現状の鉄道駅でさまざまな不便さを強いられるとしたら、それも移動制約ということができる」としている。
この節では、「情報・コミュニケーション障害」の影響が特に大きい、障害者・高齢者・外国人を取り上げ、その概要を文献に基づき整理する。
 
1. 障害者(井村圭壮・相澤譲治編著:障害者福祉を学ぶ、1996、学文社)
 
1)障害のとらえ方
○障害概念について、国際的にはWH0の「国際障害分類試案」(1980)の中で、障害のとらえ方は3つの質的に異なるレベルがあることを示している。
その3つとは、impairment(機能障害)、disabi1ity(能力障害)、handicap(社会的不利)であり、これら影響しあう3つの障害の関係を把握して、障害全体を統合体としてとらえることが重要である。
・impairment(機能障害)
「心理的、生理的又は解剖学的な構造又は機能の何らかの喪失又は異常である」と定義され、器官や臓器の異常をいう 例)手足がまひしている
・disability(能力障害)
「人間として正常と見なされる方法や範囲で活動していく能力の、(機能障害に起因する)なんらかの制限や欠如である」と定義され、人間個人のレベルで動作・行為能力の制限や欠如をいう 例)歩くことが出来ない
・handicap(社会的不利)
「その個人に生じた不利益であって、その個人にとって(年齢、性別、社会的因子からみて)正常な役割を果たすことが制限されたりすること」と定義され、この障害は障害者を取り巻く社会環境の問題であり、人間の社会的生存、つまり、障害者の社会生活の正否に影響する障害である

 

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2)障害者の法的定義
○障害者基本法(1993)によると、障害者の法的定義は、「身体障害、精神薄弱または精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受けるものをいう」であり、これら3つの障害を「障害」と総称している。

 

 

 

 

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