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日中婦人消防友好視察に参加して

大分県竹田広域婦人防火クラブ連合会会長 佐久間伸子(視察団第3班・班長)
1996年11月16日、結団式を終えた私共総勢20名は成田を出発。中国時間18時25分茜色に染る壮大な地平線……、大陸の日没を左手に見ながら北京空港に到着いたしました。混雑する空港ロビーの人波に緊張しながら、中国公安部の方々にお出迎えいただき、一路ホテル漁陽飯店に向け出発いたしました。早速制服に着替え、先ず中国消防協会の方々との会見、続いて御招待の歓迎宴に臨み、なごやかな雰囲気の中で優雅な晩餐を楽しませていただきました。
翌日は天安門広場から毛沢東の肖像を仰ぎ見つつ、その奥へと広がりを見せる故宮の参新を致しました。中国4千年の歴史の重さと厚みに圧倒されながら、古えの宮廷生活へ思いを馳せたことでした。午後は明の時代に地中に築かれた「王墓」十三陵の見学。次に訪れた万里の長城のスケールには、只々驚嘆あるのみでした。
18日は先ず北京市左家荘消防中隊の参観。全員整列してお出迎えいただき、整然とした消防隊の各施設や生活空間を見せてもらいながら種々の質問もさせていただきました。

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次に北京市内の女性防火隊と交流。中国の女性防火隊は企業レベルや行政レベルに於て組織され、私共、地域単位に生まれたボランティア組織とは根本的に性格の違う組織だと思われました。午後北京を出発し、15時すぎ西安空港に到着。西安市公安の方々の熱烈な歓迎をいただきました。空港を出発して約2時間近く、バスの窓から、湧き溢れ出て来る様な人の波と、自転車の数に驚きつつ、西安の風景を楽しみながらホテルに到着いたしました。
西安消防局のトップの方々との会見では、非常に興味深いお話の数々を承りました。
「西安市は陝西省の中心であり、人口630万人、古えより長安の都として文化の発信源であった。日本とのつながりは古えより深く今も奈良市と姉妹都市となっている。消防局は中隊96・防災課23を以て編成され、防火防災に力を注ぎ、大きな火災は発生したことがない。婦人は企業の中で防火隊を組織し月に一度訓練を行っている。陳西省の婦人職員は24名。全員大学卒で、それぞれの専門分野で動き、消防関係では新しい製品の開発に取組み、防火用品の品質の点検管理を行っている。」とのことでした。また、防火と消防には国境なし、今後もますます友好を深め促進したいと挨拶されました。翌日は公式行事の無い一日となり、皆、リラックスし、玄宗皇帝と楊貴妃の遊んだという風光明媚な華清池を見学、古えのロマンに、暫し浸りました。
次に訪れた兵馬俑は、あらかじめテレビで予備知識を若干持ってはいましたが、実際に目の前にした感懐は又、格別。ビデオで兵馬俑の作られた歴史、発掘された状況をドラマ風に紹介された後、発掘現場を見学いたしました。全部発掘し終るのは何時か分からぬとのことでした。午後は大雁塔の見学。
翌20日は西安女性防火隊との交流の後、西安を発ち、上海に午後6時前に到着。上海はさすが洗練された中国有数の都市。モダンなたたずまいは北京市や西安市とは金く趣きが異った近代都市。立体交差やビルの林立する中を一路ホテルに直行。夜の歓迎宴では海鮮料理の数々に目を見張り、北京での北京ダック、西安での21種のギョーザと共に忘れ得ぬグルメの思い出もできました。上海でも豫園、東方明珠等すばらしい観光地へも連れて行っていただき、消防局の方々の行き届いたお世話をいただきました。こうして私共の中国一週間の旅は終りましたが、中国消防協会の方々の温かさ、懐の深さ、同文同種の試みで、昔からよく知っていた隣町の人々との交流の様な懐しさの中で多くのことを学ばせていただきました。深く感謝申し上げます。また、最後に、旅慣れぬ私共のお世話で大変な御苦労をされた日本防火協会の皆様に心からなる感謝を捧げお礼申し上げまして私の視察の報告を終ります。

 

 

 

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