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防災対策の課題について

幼少年消防指導研修会における講演(要旨)

消防庁防災課長 山口勝巳

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ご紹介いただきました防災課長の山口でございます。
皆様方には、平素より自主防災について大変ご尽力をいただいておりますことを、あらためて厚くお礼を申し上げる次第です。
※ 火災概況等の推移
少年消防クラブは昭和25年の発足でありますから、概ね50年近い歴史を経てきたわけです。この少年消防クラブは、そもそもは火災予防、防火思想の普及という目的で育成が図られてきたと思います。そこで、そういった本来の目的であった火災の予防すなわち火災に関する事柄について、この50年間どういう状況になってきているのかというよラなことを、今日は振り返ってみたいと思います。
まず、火災の出火件数であります。昭和23年の出火件数、17,022件を基本として、お講じしていきたいと思います。
出火件数は、昭和20年代から40年代を通じてだんだん増大し、ピークは昭和48年の73,092件で、昭和23年当時の4倍以上に増えました。その後、減少傾向を見せ、昭和50年以降は6万件を切りまして、例えば平成5年で申しますと56,700件、すなわち3倍程度まで減少してきているというような状況です。
次に、火災による死者数であります。これは、出火件数と同様に昭和20年代から40年代を通じて増加し、昭和48年ピーク時に死者数は1,870人となり、先程の出火件数と同様約4倍に増えてきた訳です。その後は、出火件数が低減傾向にあるのにつれ、死者数も大体1,700人から1,900人台と、概ね校ばいの状況にあります。
一方、そういった火災に対しまして、それを防ぐいわゆる消防力の状況はとういう推移をしてきたかということであります。
市町村消防の常備化は、昭和23年以来徐々に進んできたわけです。市町村に消防本部及び消防署が設置されることを、常備化と言っているわけですが、昭和20年代から40年代初めまでは、なかなか思うような伸びではありませんでした。例えば、昭和30年代は、その常備化率が10%〜20%台でした。しかし昭和48年頃には急激な伸びをみせ、常備化率が68%すなわち7割近い市町村において消防本都が設置され常備化されました。その後、昭和58年までには、常備化が9割を越え、平成7年度は95.9%ということで、ほとんどの市町村において常備消防が整備されました。数で申しますと、現在、全国の市町村で931の消防本部が設置されております。それから消防議員数ですが、当然のことながら常備化に伴って同じような推移を見せ、昭和48年には88,574人、すなわち昭和23年の約3倍に増えました。現在では、約14万7千人という消防力の状況になってきているわけです。
一方、消防団の状況がどうなっているかを見

 

 

 

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