プティパが、往年の勢力が衰えた時期の1900年にゴルスキーが改訂演出をし、現在のドン・キホーテ全幕は、このゴルスキー版に依るものであるが、このゴルスキーの改訂には、プティパは賛意をもたなかったと云うことである。 「グラン・パ・クラシック」
“Grand Pas Classique”
音楽●O.F.オーベ一ル/O.F.Auber 振付●V.グゾフスキー/V.Gsovsky 作曲者のオーぺ一ル(DanielFrancois−EspritAuber1782〜1871)は、フランスの19世紀前半のオペラ作曲家で、序曲で知られる「ポルティチの唖娘」、田谷力三の歌声で知られた「フラ・ディアボロ」など、オペラを50余曲も作曲したと伝えられる。オペラ・コミックの為に作曲した歌劇「マルコ・スパダ」は、後にオペラ・バレエに改作された。 ここに使われている音楽は、オーべ一ルの作曲したいくつかのオペラの中から、振付のグゾフスキーによって選ばれたものである。 振付のグゾフスキー(VictorGsovsky1902〜1974)は、ロシア生まれの振付師、名教師で、戦前の1925年ベルリン国立歌劇場のバレエ・マスターを皮切りに、マルコヴァ=ドーリン・カンパニー(1937)、そしてパリ・オペラ座のバレエ・マスターをつとめ、晩年はハンブルグ国立オペラのバレエ・マスターとなった翌年に、古いバレエ「ラ・シルフィード」を、パリ・オペラ座版の音楽(シュナイツホッファー作曲)で、復活上演の振付をしたことでも知られている。この際は、ディアギレフの片腕といわれていたボリス・コチィノとローラン・プティの協力で、パリのシャンゼリセ劇場で公演され、前述のローラン・プティとニナ・ヴィルボヴァが主役を踊った。 「グラン・パ・クラシック」は、オペラ座のバレエ・マスター時代に、古典パ・ド・ドゥの形式で創作された彼の名作で、やはりバランシンが古典グラン・パ・ド・ドゥの形式で創作した、いわゆる「チャイコフスキーのパ・ド・ドゥ」と双壁をなすものである。このバレエは、イヴェット・ショビレの為に作られ、1949年にショビレとスコラトフによって初演された。以来、世界各国のプリマ・バレリーナ達のレパートリーとなり、バレエ・コンクールの演目にも加えられるようになった。 「ジェンツァーノの花祭り」よりパ・ド・ドゥ
Pas de deux from
“The Flower FestivaL in Genzano”
音楽●E.ヘルステッド/E.Helsted 振付●A.ブルノンヴィル/A.Bournonville 振付のオーギュスト・ブルノンヴィル(1805−1879)は、デンマーク・ロイヤルバレエの中興の祖といわれ、いわゆるブルノンヴィル様式のバレエは、現在でも世界のバレエ界を席巻している。 「ナポリ」「ラ・シルフィード」などがあり、一幕物として「コンセルバトーリ」「ジェンツァーノの花祭り」などがあげられる。 ハンス・クリスチャン・アンデルセンと、アレクサンドル・デュマの作品にヒントを得、ローマ近郊のアリシアとジェンツァーノでの実在の花祭りの情景を描いた一幕物のバレエ作品であるが、現在ではその中のパ・ド・ドゥのみがバレエ・コンサートの演目となっている。 音楽は、「ナポリ」や「コンセルバトーリ」「ブルージュの祭り」などのブルノンヴィル作品に協力した作曲家、E.ヘルステッド(E.Helsted)とH.パウリ(H.Paulli)によって、1858年12月にコペンハーゲンの王立劇場で初演された。 今回踊られるパ・ド・ドゥの部分の作曲者は、E.ヘルステッドである。 「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
“Tchaikovsky Pas de deux”
音楽●P.l.チャイコフスキー/P.l.Tchaikovsky 振付●ジョージ・バランシン/GeorgeBalanchine 前にも述べたように、バランシンは、チャイコフスキーの音楽を愛し、チャイコフスキーの音楽によるバレエを数多く創っている。 このバレエは、クラシックのグラン・パ・ド・ドゥの形式で、創作されたものであり、同じものとして、やはりグラン・パ・ド・ドゥ形式でグゾフスキーが創った「グラン・パ・クラシック」がある。 音楽は、チャイコフスキーが「白鳥の湖」の為に作曲しながら、結局使われず、草稿のまま埋もれていたのを、チャイコフスキーの死後1953年に、ブルメイステルによって発見されたものである。 元来は、黒鳥の踊りの為のパ・ド・ドゥの音楽として作曲されたものともいわれ、ブルメイステルによる、モスクワダンチェンコ劇場版の「白鳥の湖」では、この曲の冒頭部分が使われている。又、女性舞踊手の為のヴァリエーションは、チャイコフスキーによってオーケストレーションされていたが、他は、ピアノ譜のスケッチのままで、後にシェバーソンによってオーケストレーションされた。 このチャイコフスキー自身がオーケストレーションされた曲は、ジャック・カーター振付のパ・ド・フィア
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