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はできないにせよ、一般ユーザに対して分かりやすい形へのデータの加工と配布が、研究者や特殊な要求に対する高度な品質管理や加工を伴ったデータ・情報の提供と並んで考慮されなければならない。しかし、このふたつの要求に対してJODCが直接対応することは極めて困難であり、例えばモデル計算に際して必要なグリッドデータの作成等の処理の多くはその研究者自身の負担のもとになされており、研究効率を落とす一因となっている。また、詳細な海洋の構造研究等では、個々の研究者が必要な品質管理を行っているのが現状であり、組織的な品質管理の実行が緊急の課題となっている。
 JODCにおいては、データベースの整備、オンライン提供等、各種データ・情報の管理体制の充実を図っているところであるが、例えば高度な品質管理においては、それ自身が極めて高度な研究対象であって、高い研究能力と高度な専門知識を有する専従者を必要とする。また、高度の品質管理を行うためには、観測者と密接な連絡をとり、測器や観測方法等にまで踏み込んだ検討が必要となる。もちろん、すべてのデータについてこのような作業を行える訳ではないが、そこで見い出されたノウハウを個々の研究・観測者にフィードバックすることによって、収集されるデータの品質向上を図ることは十分可能である。このような活動は、JODCの業務にはなじみ難く、データの品質管理や加工について専門に研究する機関の設立が要望されるところである。

 

2.求められる海洋データ・情報

(1)気候研究・海洋研究

 研究に用いられるデータは研究者により異なっており、その内容も多岐にわたるが、比較的多く用いられているデータとしては、水深、水温・塩分、潮汐のデータである。また、インターネット等オンラインによるより迅速な入手手段が求められている。

 

(2)海洋開発

 海洋調査や開発工事に用いられるデータとしては、設計条件等に利用される波浪、水深データや調査等の基礎情報となる水温・塩分、海底地質等が用いられており、今後は構造物と生物の関係等を考慮した設計等が求められているため、海洋生物の情報についても人手する必要がある。

 

 

 

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