日本財団 図書館


7.3 まとめ

 

今回の実施した製造後約8年経過したコンテナの調査は、今までに実施した2回の調査と同様な調査方法で行い、使用年数が増すごとに、性能がどの程度低下していくのか、また構造部材がどの様に変化していくかを確認し、今後の保守管理の改善策を見つけだすために実施した。

 

冷凍コンテナを定安した運用に寄与させるためには、冷凍機の定期的なメンテナンスは当然のことながら、諸性能の中でも重要なものは、保冷性能の低下を如何に最小限に止めるかである。即ち内部に充填されている断熱材の性能を如何に保持するかである。

 

断熱材の性能は、完全密閉でない限り正常な状態でも、経年劣化により低下する。まして外部より水の侵入を受けると、その性能は著しく低下する。このことは今までの調査でも充分うかがえる。

 

今までの3回の調査試験結果を比較して見ると、保冷性能の低下は経過年数が経つにつれて進行していることがわかる。またそれにつれて断熱材の性能低下も進行している。この数値が妥当かどうかは、数少ない試験データであるが、劣化の傾向は充分認められる。

 

断熱材の熱伝導率の測定結果を部位別に見ると、フロア部が他に比べて劣化率が大きくなっている。これは断熱壁内部調査でも、特にリア付近の断熱材に含水が多く見られることからも確認できる。また経過年数が経つにつれて進行していることがわかる。その要因としてフロア部のリア付近は、クリーニング等の水の侵入を受けやすく、また荷役作業による繰り返し荷重を受けやすいところで、構造上シールが難しい個所でもある。

 

サイド部は、内装材の材質と取付方法の変更(FPR板重ね合わせから、ステンレス一枚ものに変更)がシール性の向上に繋がり、断熱材の性能低下の防止に良い影響を与えていることがうかがえる。どの部位でもダメージによる水の侵入は、放置すれば即保冷性能に影響することは、調査でも判明しており、完全な補修処置が望ましいが、取りあえず水の侵入を防ぐと言う応急的な対応策が重要である。
一般的にドアパッキン等の化成品は、劣化が進むと硬度は大きくなり伸びは小さくなる傾向があるが、劣化の進行は、使用環境や使用頻度によって可成り差がでるため一概には言えない。今回実施した物性試験結果では、約8年経過もので劣化は比較的軽微な状態で留まっている。しかし気密性能に大きく影響を及ぼすことはたしかであ

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION