日本財団 図書館


第7章 考察

 

7.1 今回の調査、試験結果についての評価

 

損傷が少なく、大きな補強が施されていない製造後約8年の2社の40フィートアルミ製冷凍コンテナを選別し、外観調査、寸法重量測定、熱性能試験、断熱壁内部調査、断熱材物性試験を実施した。

 

外観調査からは、擦り傷による部分的なマーキングの剥がれと、鉄部材の塗膜剥離部からの錆の発生が認められるが、程度は比較的軽微である。また損傷部も適切な補修処置が施されており、問題となる個所はない。全体的に通常使用による汚れはあるものの強度的な衰耗は見られず、機能上全く問題はない。
寸法測定に於いては、規格内であり問題はない。重量測定では、表示重量に対して0.5%〜2.2%の増加に留まっており、新造時の誤差を考慮すれば、水の侵入があったとしても、その量は比較的少ないと判断出来る。

 

気密性能試験に於いては、目張り測定からドア周りよりのリークの増加が見られる。内側ドアパッキンを取り替えての測定では、取り替え前の数値より良くなっているものの、回復量は比較的少ない。これは、パッキンの物性試験でも、当初の基準値をほぼ満足した結果が出ており、劣化程度は比較的軽微な域に留まっているためと思われる。リークは、パッキンと接するフレームの当たり面の僅かな変形が起因することもあるため、今後気密性能を保持させるためには、パッキン自身の定期的な点検だけでなく、パッキンの当たり面も合わせて点検することが重要である。

 

保冷性能試験では、熱貫流率が新造時と比較して13%〜20.9%の性能低下が見られる。また冷却試験では、25%負荷時の冷却運転時間率が80%以下に留まっている。性能試験結果から見れば、冷凍コンテナとして今後も継続して使用しても支障ないと云える。

 

断熱壁内部調査では、床部のフロントの一部とリア部の断熱材に水の侵入による劣化が見られる。フロント部は近くに補修が施されており、ダメージを受けた際に水が侵入したものと判断される。リア部はリアシル付近より水が侵入したと思われる。現状では、広域に及んでいないことと、各部の状況から見て劣化の程度は比較的軽い状態で留まっていると判断できるが、水の侵入は保冷性能の低下に大きく影響を及ぼすことを念頭におきながら保守管理を行う必要がある。

 

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION