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3)ゴルフ・夕―ゲット型ニュースポーツの安全対策
ゴルフ型やターゲット型のニュースポーツは、制止したボールを打ったり、マイペースで物を投げたりして楽しむ種目が多く、テニス型やバレーボール型に比べて運動量も少なく、高齢者が参加しやすくなっている。また、傷害や事故の発生率も低く、比較的安全であるといえるだろう。
しかし、これらの種目では、打球のために下を向いて構えたときに一瞬緊張して、血圧が上昇することがある。例えば、気温の低いときなど、緊張したゲーム展開の中で予想以上に血圧が上がる可能性がある。血圧に何らかの問題を抱えている人の場合は要注意である。かなりの緊張と興奮が予想される大会などでは、打数の短縮やハンデの設定、立ちっぱなしの禁止などの配慮が必要となろう。
4)野外・自然型ニュースポーツの安全対策
ウォークラリーなど歩くことを中心とした野外・自然型のニュースポーツはマイペースで自由に楽しむことができるので、今後も大きな広がりをみせるものと思われる。しかし、野外や自然の条件は変化しやすく、ときには厳しい気象条件に見舞われることもある。また、長時間歩くことや困難な場所を歩くことを目指しているイベントもみられる。高齢者に対しては、時間、距離、コース、回数などを調整してむりのない設定を工夫することが必要となる。歩くことを軽く見て「限界に挑戦」とか「チャレンジ精神」などと煽り立てることは厳に慎しまなければならない。
スカイスポーツや海洋スポーツではしばしば死亡事故が報道されることがある。その原因の正碓な把握と対策が急務であろう。我々も今後の検討課題にしたいと考えているところである。
[8]ニュースポーツの事故責任と対策

1)スポーツ事故の原因
万一のことを考え安全対策や事故防止に人事を尽くしても、スポーツの持つ危険性による不可抗力の事故が発生することがある。しかし、十分な対策があれぱ、不幸にも事故がおきても大事に至らずに済むのである。
スポーツ事故の種類やその原因はさまざまであるが、個人の身体問題(体質、既往症・持病、運動歴、生活習慣、高齢等)や施設の設置・管理の瑕疵(通常備えるべき安全性を欠くこと)、指導者の加害行為(注意義務違反等)に起因する事故も散見される。そしてほとんどの場合、これらが複合的に作用しておこるケースが多く、事故原因や責任の所在は一層複雑になる。
また、参加者はスポーツの持つ危険性に同意して参加しているとみられているので、ルールを守っているなかでおこった事故では責任を問うことは難しい。もし、不幸にして事故が発生した場合は、当事者(特に負傷者・被害者)に不満が残らないように、迅速かつ適切に対処することが重要である。

 

 

 

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