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第6章 ニュースポーツ事業の推進と安全対策

はじめに

ニュースポーツは、一般的に運動強度が軽度で「安全」とのイメージがある。しかし、財団法人スポーツ安全協会の事故統計によると、ニュースポーツによる死亡事故や傷害の発生が報告されている。また、東京都監察医務院が扱ったスポーツ中の突然死においても、ニュースポーツ活動中の事故例が報告されている。
今回我々が実施したニュースポーツ団体へのアンケート調査では、団体が主催した大会や講習会での傷害や事故が発生したことのある種目は53.8%、死亡事故の発生は11.5%となっている。また、全国レクリエーション大会に参加したニュースポーツ愛好者に対するアンケートでも、約30%の人がニュースポーツ活動中に何らかの傷害や事故を経験している。
このようにニュースポーツであっても参加者の身体的条件や環境条件などにより傷害や事故発生の危険性があることがわかる。本章では、いかにすれば、傷害や事故を極力おこさないようにすることができるか、おもに中高年者に対する指導の観点から、ニュースポーツ事業者や指導者の留意点、安全対策、責任などについて検討した。
[1]ニュースポーツ活動と安全対策

1)主催者の安全対策
ニュースポーツ活動の場は、おもに公共体育施設や行政の主催事業、体育協会やレクリエーション協会、種目団体が主催しているスポーツ教室や講習会、交流会、大会などであろう。また、同好者によるチームやクラブの自主的活動などもある。主催者や事業者の主体が違っていても、いずれの場合も安全についての適切な対策と対応が求められる。主催者やリーダーは安全対策への配慮が十分であるか、安全対策への意識を高めて欲しいものである。
2)参加者の身体特性や目的に対応した安全対策
ニュースポーツはだれでも比較的安易に参加するケースがみられるが、個人的には年齢、体力、健康状態、既往症や持病などの条件によって身体的への負担度も異なってくる。また、参加の目的も、「健康・体力づくりのため」「仲間との交流」「ストレス解消のため」「スポーツを楽しむため」などさまざまである。このように参加者の身体的特性やニュースポーツヘの欲求は多岐に渡っている。したがって、その安全対策もすべての人に共通する一律的なものばかりでなく、個々に対応した対策が求められている。
3)活動環境と安全対策
ニュースポーツ活動の環境条件は、屋外と屋内、夏と冬、早朝や夜間、天候などによって大きく異なってくる。我が国は南北に細長い国土であり、四季がはっきりしていて季節や地方によって、気象条件が大きく違うという特徴がある。したがって、同じ種目を楽しむにしても、これらの条件に応じて、服装、活動時間、運動量などに十分留意することが必要になってくる。ここでも、それぞれの活動の場における多元的な安全対策が求められる。

 

 

 

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