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7)チュックボール

1)動作の特徴
男女それぞれ2名について、ゲーム(1ピリオド)中に見られた動作とその実施合計時間を図表15に示した。また、それらのゲーム中の動作の比率を図表16に示した。
チュックボールではゲーム中にじっと立っている「立位静止」の状態はわずかしかなく、ゲーム全体の7%程度に過ぎない。ゲーム中は歩いていることが最も多く「歩き」が全体の約70%を占めている。そのほか軽く走る「小走り」が10%、ポールを投げる「パス・スローイン」、ボールの「キャッチ」がそれぞれ5%となっている。「サイドステップ」「ダッシュ」「シュート」などネット付近でのプレーはゲーム全体の6%程度である。
ゲーム中に「歩き」が多くなるのは、歩くか、ときには「小走り」しながらゆっくりとコートサイドまでパスでつないでいくためである。攻撃サイドが変わる度にこの移動があるため、必然的に「歩行」が多くなるのである。
ゴールネットの周りでは「サイドステップ」「ダッシュ」「シュート」など瞬発的な動作が多くなる。これらの1つ1つの動作の時間は短いのでゲーム全体で占める比率は小さくなるが、瞬発的な動作であるため個々の運動強度はかなり高い。
図表17にゲーム中の瞬発的な動きである「パス・スローイン」「キャッチ」「シュート」「ダッシュ」「サイドステップ」の回数を示した。シュートを放つ回数はプレーヤー間に差が見られるが、シュートを多く放っているプレーヤーはダッシュの回数も多くなっているのがわかる。また、シュートではジャンプシュートが多く、女性では11投中10投、男性1名は3投全部、男性のもう一人は14投中12投がジャンプシュートであった。チュックボールは、ゲーム中ほとんど動き回り、しかも動きの緩急がかなり激しい種目である。
2)動作から見た安全対策
●身体運動量はかなり多い
ゲーム中の動きをみても「立位静止」状態は少なく、プレーヤーは「歩き」、「小走り」などで常に動き回っている。またゴール周辺でのプレーは瞬発的な動きが多い。チュックボールの身体運動量はニュースポーツの中でも高く、身体負担度も大きいと思われる。したがって、特に中高年プレーヤーは体調を把握してむりをしないことである。また、飲酒をしてのプレーなどは身体的負担を過度に高めるので止めるべきである。
●ゴールネット周辺での攻防には要注意
チュックボールでは、特にゴールネット周辺の動きに注意が必要であると思われる。ダッシュしたり、シュートしたり瞬発的な激しい動きが多くなる。しかも静的な構えの状態から、突然これらの動きが繰り出される。こうした変化の激しい動きでは、足首や膝に大きな負担がかかり、捻挫、アキレス腱断裂などを起こしやすいので注意が必要である。
●初心者はプレーの内容を理解し、衝突に注意する
ネット周辺ではボールの跳ね返り方向を予測して動いたり、相手プレーヤーのいない方向にシュートするために、瞬発的な突然の動きが多くなる。こうした状況ではプレーヤー同士の衝突に注意する必要があろう。特に、動きの予測がつかない初心者がゲームに参加している場合などは注意が必要であろう。

 

 

 

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