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[2]ゲートボール

1)動作の特徴
男女それぞれ1名のプレーヤーについて、ゲーム中に見られた動作とその動作を行った合計時間を図表3に示した。また、それらの動作が、ゲーム中どの程度の割合で行われているのか、その比率を図表4に示した。いずれも1ゲームにおける結果である。動作分析対象時間は男性プレーヤーが19分42秒、女性プレーヤーが17分50秒であった。
ゲートボールの動作の特徴は、プレー中に静止状態が多いことである。図表から男性および女性プレーヤーともゲーム全体の約50%を「立位静止」状態で順番を待っていることがわかる。さらに男性プレーヤーはゲーム全体の28%、女性プレーヤーは7%を「ベンチに座る」状態にある。男性プレーヤーはゲーム全体の約80%、女性プレーヤーは60%を立位か座位の静止状態にあったことになる。
また、「歩き」動作は、女性プレーヤーで28%、男性プレーヤーで17%、ゲーム全体の約20〜30%であった。歩行はコート外からボールの位置までの移動やコート外への退出、コート外での移動などである。
ボールを打つ動作は、「打撃構え」および「打撃」を合わせて女性プレーヤーで9%、男性プレーヤーで4%とゲーム全体の10%以下であった。打撃動作にしても、ボールをできるだけ遠くに転がすのではなくて方向を狙うものなので、全力でスティックを振り切ることがない。
このようにゲートボールの動作には、動きの激しい瞬発的な動作は見られず、ほとんどが日常生活レベル程度の運動であるといえる。
2)動作からみた安全対策
●不注意による事故に気をつけよう
動作内容から身体運動強度を推察すると、ゲートボールの身体運動強度は日常生活レベルとほとんど変わらないのではないかと考えられる。「立位静止」「歩き」「ベンチに座る」でゲームの約90%を占めており、瞬発的な動きは「打撃」以外にない。また打撃にしても、最大でボールをコート外にはじき出す程度でよい。ゲートボール愛好者は高齢者が多いが、動作内容および身体運動量からみても高齢者でも安心してできる種目であるといえよう。しかし、興奮したり、ゲームがエキサイトしたりすると、プレーに気を取られて地面に設置したゲートに足を引っかけたり、あるいはボールに乗って転んだりといったことがある。特に高齢者の場合は不注意による事故に配慮すべきであろう。
●「腰かがめ」姿勢に注意しよう
そんなに多くはないが、ゲーム中に数回の腰をかがめてボールを拾う動作が見られる。「腰かがめ」姿勢とくに、「腰かがめ」からの立ち上がりが要注意である。不良な姿勢からのむりな立ち上がりは腰痛の原因となる。
●スティックでの打撲に注意しよう
ゲートボールでは、ボールを足裏で押さえた状態で打撃することがあるので、強く打とうとして誤ってスティックで足を打撲してしまう可能性がある。また、足をボールに乗せた不安定な姿勢となるので、正しく打撃しないと転ぶ可能性がある。

 

 

 

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