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発刊にあたって

近年の自由時間の増大、高齢化社会の進展などの社会環境の変化は、人々の価値観の多様化や生活様式にも大きな変化をもたらしています。このような中で、人々は少数のエリート達が記録や勝負に向かって挑戦する、いわゆる「競技スポーツ」を応援して楽しむばかりでなく、自らも積極的にスポーツやレクリエーションに親しむようになってきました。そして、多くの人々が「健康体力づくり」や「ストレス解消」「仲間との交流」「気晴らし」「自然とのふれあい」など、さまざまな目的や期待をもってスポーツを楽しんでいます。
また一方、国民のスポーツに対するさまざまな欲求に対応するために、文部省をはじめとするスポーツ行政において、「スポーツ・フォア・オール」の掛声とともに、市町村における生涯スポーツの振興が図られてきました。その結果、人々が誰もが気軽に楽しめるスポーツとして、全国にいろいろな独自のニュースポーツが誕生しました。また、海外からの新しいスポーツやゲームが紹介されました。そしていまや、その数は約400種目を数え、その活動領域も海へ、空へ広がりをみせています。
ニュースポーツは今後ますます「生涯スポーツ」の一翼を担い、誰もが気軽に安全に参加できるスポーツとして普及されていくことでしょう。しかし、ニュースポーツといえどもスポーツとしての二面性を持つストレスであり、その安全性の確保についての十分な注意と配慮が必要であります。つまり、ニュースポーツだから「安全」という保証はどこにもないのです。事実ニュースポーツ活動中の傷害や事故が発生しており、ときには死亡事故も報道されています。しかしながら、ニュースポーツの安全対策や傷害・事故を予防するための調査研究や指導書は皆無に近い状態です。
今回私たちは、日本財団の補助金を得て、「ニュースポーツの安全対策に関する調査研究」を実施し、その結果をまとめました。
特に、ニュースポーツの傷害・事故の状況やニュースポーツの身体負担度を明らかにすることができたことは、ニュースポーツの指導や事業の推進に際して、その安全対策に大きな示唆を与えるものとして、画期的な内容になったものと思います。この報告書がニュースポーツ愛好者やニュースポーツ事業を推進する指導者や担当者の皆様に、有効に活用されることを期待しています。
最後に、この調査研究に対して多大なるご協力をいただきましたすべての方々に深く感謝申し上げます。
1997年3月
ニュースポーツの安全対策に関する調査研究委員会を代表して
財団法人小野スポーツ体力研究財団常務理事
小野寺 昇

 

 

 

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