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国際協力結核予防セミナーについて

 

結核は現在、世界の公衆衛生上の問題で、解決に緊急を要する課題の一つである。途上国においては、貧困からくる対策の遅れが結核のまん延に拍車をかけている。
また先進国においても、移民・難民の流入、都市への人口集中、結核対策をなおざりにしてきたことなどを原因に、結核の復活が目立ってきた。そして今、何にもまして結核の脅威を増大させているのが、結核とHIVとの複合感染である。HIV感染はアジア諸国に急速に広がりつつある。
こうした状況の中で、かつて結核に悩み、その対策に成功した我が国の関係者には、途上国の結核問題解決のための支援が求められている。
国際協力での最終目標は、その国が自力で結核対策を遂行できるようにすることである。これを可能にするために不可欠なものが人材の育成である。
結核予防会は、国際協力事業団やWHOの要請を受け、30年以上前から結核研究所に国際研修コースを設け、多くの人材を輩出してきた。そして帰国後修了生はそれぞれの国で結核対策の要となっている。
しかし、結核研究所のコースを受講できる研修生の数は必然的に限られている。
そこで、ここでの経験を生かし、講師を途上国に派遣し、現地で同じようなセミナーを開催すれば、その国の多くの関係者を一度に対象とすることができ、効果をあげることができるのではないかと考えた。
この考えは、財団法人日本船舶振興会のご理解を得、平成6年度より、インドネシア共和国、モンゴル国及びベトナム社会主義共和国にて、この趣旨に沿ったセミナーを開催し、大きな成功を収めることができた。
平成8年度においても、財団法人日本船舶振興会のご援助をいただき、インドネシア共和国及びベトナム社会主義共和国において、国際協力結核予防セミナーを開催した。さらに、WHOやIUATLD(国際結核肺疾患予防連合)などより、講師の派遣を通して協力いただいた。

 

 

 

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