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雄日本解剖学会理事長式辞に続いて皇太子殿下のお言葉を賜った。この本の冒頭の写真の下に全文掲載されているが中でも「日本の医学の進歩の陰には、献体という尊い行為があることに思いを致し、ここに、解剖学の発展に寄与された関係者と多くの献体者に敬意を表するものであります。」との御言葉があったことは、この記念誌の上でも明記しておきたい。

 

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<記念郵便切手>
平成7年3月31日、郵政省から近代解剖教育記念郵便切手80円が発行された(写真)。意匠は前田青邨画の「腑分」で縦25.0mm、横31.0mmでグラビア6色の発行検知刷で郵政省技芸官の森田基治氏の原画構成で1,800万枚が発行された。
切手の意匠は前田青邨が昭和45年に描いた「腑分」、腑分は解剖の別称で日本では18世紀頃から行われていたとされており、この画もその時代を描いたものです。画面中央の執刀者の真剣な眼差し、目を伏せている者、横を見る者、うなだれて合掌する者など、その場に立ち会った者達の複雑な表情を描き込んでおり、線画には青邨が後期に用いた手法である墨のぼかしが用いられている。

 

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<記念誌発行>
記念式典当日には2冊から成る記念誌が参列者に渡された。昭和大学後藤 昇編集委員長により作られた金表紙の「百年のあゆみ」は387頁にもおよぶ日本解剖学会の歴史が詳細に残されている。また、京都府立医大の井端泰彦編集委員長による銀表紙の「教室史」は167頁の大学・研究所、大学保健学部・医療技術短期大学部などが記載され、各々の解剖学教室の歴史や特徴を見ることができる。

 

<特別展「人体の世界展」>
平成7年9月15日から11月26日までの63日間にわたって上野の国立科学博物館において日本解剖学会、国立科学博物館および読売新聞社の共催で開催され、452,933名が入場した。これはアポロ「月の石」に次ぐ入場者数であったといわれている。ドイツのグンター・フォン・ハーゲンス博士の手になるプラスティネーション標本は人体解剖の御遺体をシリコン系樹脂で置き換え、永久標本にした人体(写真)やプラスチック樹脂に置換した人体の断面標本等は、現代の解体新書の副題通り一目で人体が見られる素晴らしいものであった。
この中には解剖学会が主体となって研究・教育活動を一般の入場者にお知らせする目的で解剖学者の探る人体と称し22のパネルによる解剖学展示が行われた。
また、小講堂では解剖学会会員によるミニ講演会も行われた。
<人体の世界の出版>
人体の世界展の期間中、会場内の小講堂で解剖学

 

 

 

 

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