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献体23年

 

久留米大学りんどう会

 

久留米大学りんどう会は、昭和48年6月に発足以来23年を迎えましたが、各位の御理解と御尽力によって会員数も年々増加の傾向にあります。
振り返ってみますと、初代りんどう会々長・故竹重順夫名誉教授(第4代篤志解剖全国連合会々長)、二代会長・中村泰山先生を経て、三代会長を迎えていますが、特に初代会長は、篤志解剖全国連合会々長として献体法制化に関係各方面との折衝や陳情に活躍され、その結果、昭和58年5月、衆・参両院の本会議で「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」が成立したのであります。そして、篤志献体の社会的意義が広く理解され、献体の輪を広げられたのであります。
現在、本学において「りんどう会」は年一回の総会を開催し、新入会員の入会の動機や近況などの紹介を行い、その後に施行される解剖体慰霊祭を梅林寺で読経の流れる中しめやかに執り行っています。
なお、昭和57年8月から、全国の医学、歯学の大学での解剖学実習に献体された故人の厚志に対し、文部大臣感謝状が贈呈されることになり、長年、地味な献体運動を展開してきた篤志家、団体にとっては「献体の社会的認知」の第一歩として、また、遺体の提供を受けてきた大学にとっては医学教育への後見に対する謝意の表明として、共に大きな喜びを抱くものであります。
元来、医学、歯学大学の使命は、教育、研究、診療の全般を通じて、広い教養を身につけ、創造性を保持し、医の倫理と人間愛に根ざし、最新の医学の知識と技術を持ちながら専門領域に固執せず、広い視野にたって診療を行える医師像を目標としています関係上、献体者の比率が次第に増加していることが、人体解剖学実習をして単に人体構造の知識の習得の場に留まらず、医の倫理観の養成に大きく役立つものと痛感しているところです。
献体運動が始められたのは昭和30年頃で、その後全国的に拡大し、全解剖体を献体者に仰いでいる大学も少なくないようです。「良い医師になって下さいよ」との生前の意志に応えねばならぬという学生の自覚を促す、文字通り「もの言わぬ師」の役割を果たされている献体運動は、今日では、もはや単なる遺体不足の解消のためという段階を越え、今、最も必要とされている医の倫理の涵養に大きく役立っていると思います。
最後に、献体運動の御発展と、献体者の皆様の御健勝と御多幸を祈念する次第です。
(会長 宮崎道雄)

 

 

 

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