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京大白菊会の歴史と現状

 

京都大学医学部

 

京大白菊会は、死後自らの身体を解剖学の教育と研究のために提供し医学教育と医学・医療の進歩向上に協力するために、京都大学医学部へ献体しようという篤志をもった人々によって構成される任意篤志団体であり、昭和36(1961)年12月、島田市二初代理事長をはじめとする22名の会員により、全国で2番目の献体篤志団体として発足しました。以来、京都大学医学部における解剖学教育に京大白菊会が大きく貢献してきました。白菊会発足後も、昭和40年代までは献体を容易に受容しない風潮も世間に根強かったため、永年にわたって解剖実習用遺体の不足状態が続き、その不足分は交付死体によってまかなわれていました。当時の白菊会役員の方々や解剖学教室の教官は、老人ホームなどを訪問して献体についての啓蒙とお願いをするという大変な御苦労を重ねられました。
その後、全国的な「献体運動」が次第に盛り上がり、昭和58(1983)年の献体法制化と、それに伴って進んできた社会的理解のおかげで、近年は京大白菊会も登録会員数がコンスタントに増加しています。平成8(1996)年3月末現在において、京大白菊会は、登録会員総数のべ3,343名、うち成願会員837名、生存会員1,488名を数えています。
現在、京大医学部で行われる解剖実習に用いられる御遺体はすべて白菊会会員の篤志献体によるものであります。京大医学部においては、生体構造医学講座の2講座(塩田浩平教授、井出千束教授)と高次脳形態学講座(水野昇教授)のスタッフが全員協力して肉眼解剖実習を担当しています。また、学生実習のほかに、外科系臨床教室員による研究や新たな手術手技の開発と教育にも、白菊会会員の御理解を得て御遺体が提供されています。
京大白菊会では、当該年度の実習等に献体された成願会員の御遺骨返還式を8月初旬医学部内で、また10月20日前後には慰霊祭(解剖体祭)を京都市内の黒谷本山でとり行っています。京大白菊会は、事務局を京大医学部附属総合解剖センター内に置き、機関誌「京大白菊」と会員名簿を定期的に発刊しています。なお、医学部解剖体祭当日に会員による白菊会総会を開き、講演と懇談を行っています。
(京都大学大学院医学研究科 教授 塩田浩平)

 

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