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慈恵医大献体登録の歴史

 

東京慈恵会医科大学

 

献体法成立以来満13年を迎えた今日、篤志献体のおかげで解剖体は比較的安定期に入りました。
東京慈恵会医科大学解剖学講座では昭和38年に第1号の献体登録がなされ32年が経過しました。これを期に本学における献体登録の歴史を振り返って見ることにしました。
昭和45年度まで登録者は年間10名位でした。昭和40年代中頃は解剖体が最も少ない頃で、本学では8人に1体しか解剖できず、次年度は果たして解剖実習が可能なのだろうかと危ぶまれました。この様な状況から各大学とも解剖体確保に熱心に取り組みだし、昭和55年度頃までは本学の登録者は年間20〜30名とやや増加しました。
この頃から献体の法制化がさけばれ、昭和58年度には年間登録者が124名でピークを迎え、平成元年度まで年間100余名が登録されました。その後4年間は年間80余名でした。
献体成就者は昭和63年度にピークに達し40名を数え、登録者より5〜6年ピークが遅くなっています。
献体登録者は女性の方が圧倒的に多く、男性の方が多かったのは昭和40,42,48,52年度のみで、男女比の平均は女性58.2%に対して、男性は41.8%です。
平成8年3月末日現在、本学の献体登録者状況は健在登録者が1112名(男性389名、女性723名)です。この他に57名の方は連絡がとれず不明となっています。
献体成就者は432名(男性240名、女性192名)、献体が成就されず亡くなられた非献体の方が51名、登録を取消された方が48名、他の大学あるいは篤志家団体へ転出された方が41名となっています。
献体登録をされた方々全員の登録時年齢をみると、60歳代が最も多く、次いで70歳代、50歳代となっています。女性に比べ男性は60歳代、70歳代がほぼ同じで、男性の方が登録する時の年齢はやや遅いように思われます。
昨今、献体過剰がさけばれておりますが、当初の頃は純粋に医学教育の為に献体するとの尊い御志で申し込まれた方々でした。近年はともすれば、その志が異なり、墓地がないことを理由に献体申込をされる方が若干増えた様に思われます。学生の教育の面からも純粋な尊い御志をお受けして参りたいと思っております。

 

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