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昭和大学献体30年

 

昭和大学医学部

 

昭和大学で献体団体として白菊会支部が結成されたのは昭和44年でした。同年8月に会員第1号として宮嶋清一郎氏が入会され、その後、当時の白菊会理事長倉屋利一氏のご援助により会員も少しずつ増えてきました。そして、昭和52年には歯学部が設立されて、医学部、歯学部にそれぞれ支部を置くことになり、現会員数は医学部620名、歯学部220名、計840名となり、最近では両学部とも学生解剖実習の多くは会員の献体によっています。これは、ひとえに一般の方々に献体の主旨が広く理解されてきたことによるもので、この間、献体運動に携わってこられた関係各位のご努力には深く感謝しています。
これに対して、大学としてもこの献体登録者のご尊意に報いるために当初は慰霊祭にお招きしたりして懇親をはかる努力を細々と重ねてきましたが、医・歯両学部で徐々に人数も増えて、昭和54年からは慰霊祭時に白菊会懇親会を開くことになり、池上本門寺朗峰会館で昼食会を行い、会員の質疑を受けながら相互の親睦をはかってきました。これは昭和62年まで続きましたが、この間、慰霊祭を仏式で行うことについて一般からの批判があり、昭和63年から大学の上条講堂で無宗派の慰霊祭を行うことになりました。これに伴って、翌平成元年には白菊会懇親会を慰霊祭とは別に大学7号館(50年記念館)で春に行い(慰霊祭は秋)、次いで平成2年から医学、歯学講演をこの席に盛り込むことになり、講演の主題は医学部と歯学部で交替で分担することになりました。従って、平成2年から講師として(敬称略)、中島宏昭(昭和大学第1内科助教授:咳と病気とQOL)、金子満雄(浜松医療センター副院長・脳神経外科部長:痴呆の予防と治療)、渡辺郁馬(東京老人医療センター・歯科口腔外科部長:歯と健康と長寿)、野村恭也(昭和大学耳鼻咽喉科教授:五感と日常生活)、小出良平(昭和大学眼科教授:老人性白内障)、飯島正文(昭和大学皮膚科教授:加齢に伴う皮膚疾患)と現在まで続いています。例年この会には医・歯両学部会員合わせて約150〜200名の参加者があり、会員からは活発な質問が出て賑わっています。
昭和大学も既に創立から70年近くになっております。設立以来の解剖慰霊塔は近くのお寺にありますが、納骨室も狭く現在の用に耐えなくなってきました。しかし、都内ではこれ以上の拡張も難しいために、昭和58年、静岡県の冨士霊園内に昭和大学納骨所を建設いたしました。これは富士吉田市に本学の教養部があることから同地が選ばれたものでした。例年春に医・歯両学部の教室員一同で納骨の際にお参りを致しております。この納骨所は先日(平成8年春)の山梨県東部地震の際には園内の大部分の石塔が損壊したにも関わらず、敷地内の置き石がわずか移動しただけで、大した被害を蒙らないで済みました。墓所の写真を添えご冥福をお祈り申し上げます。

 

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