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献体26年−秋田大学白菊会

 

秋田大学医学部白菊会

 

秋田大学白菊会は昭和45年秋田大学医学部の創設と同時に東京大学白菊会の秋田支部として発足した。当初の会員は解剖学第一講座の初代教授として東北大学から赴任された中尾泰右氏が率先第一号として、また羽後町在住の藤原宇三郎氏(昭和51年成願、85歳)の2名だった。しかし県民こぞっての希いだった医学部の発展と次代のために良い医者が育って欲しいと願う会員は発足翌年には5名、翌々年には14名と順調に増加して来た。会員献体の第一号は市川チヨ殿(82歳,会員番号9)で、昭和48年の第二期生の解剖学実習に役立たれた。
当時はそれでも小さな会であったので、事務的なことは中尾教授が担当しておられた。しかしその後も会員数は増加の一途を辿り、約百名を数えるに至ったのを機会に丁度十年目の昭和56年4月1日を以て支部から秋田大学白菊会として独立した、総会、理事会など機構の整備も行われ、初代理事長には佐藤公治氏(会員番号3)がなられた。氏は昭和63年7月の成願(72歳)までその任に当られ、会の発展に尽力された功績は大きい。
この間、昭和57年には新たに制定された文部大臣感謝状の全国第一・二号が本会の渡辺喜左衛門殿(78歳、会員番号40)と進藤友治郎殿(86歳、会員番号22)に授与されたことは特筆すべきである。
また昭和59年には会誌「秋大白菊」が創刊され、現在通算15号を数えている。全国篤志献体連合会、本会の活動状況の報告あるいは会員からの質問への回答など機関誌としての記事を主体としながらも、新入会員の自己紹介を兼ねた「入会の動機」、会員の投稿欄である「交流の窓」など豊富な写真と柔らかいカットと共に堅苦しくならないような工夫も凝らされている。投稿によると会員には多芸多才の方が多いが、中でも第二代の理事長平沢四子男氏(会員番号64)は92歳の今なお毎号の巻頭言の外に秋田県の医史・医聖についての連載に健筆を振っておられる。また表紙は第三号以来高田テイ氏(会員番号85)の手になる流麗な仮名文字の和歌を添えた毎号新たな美人画で飾られているが、全国この種の会報の表紙としては異色かつ自慢のものである(写真)。
平沢理事長始め会員諸氏、解剖学教室職員更に事務職員一丸となっての啓蒙活動の結果最近5年間の入会者は年間40〜50名を数え、毎年約25体の解剖学実習体に占める会員の数も5割を越えようとしている。このように秋田大学白菊会は県民性を反映してか決して急速に大きくなっては来なかったが、地道に活動を続け着実に伸び続けており、今後の発展が期待される。
最後に発足以来成願された145名の先達会員のご冥福をお祈りし,470余名の現存会員の益々の健勝と長命を祈って秋田大学白菊会26年の紹介を終える。

 

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