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序章 概説

 

1 自然条件と都市
マレーシアは、束南アジアのほぽ中央、北緯1度から7度、東経100度から120度の範囲に位置する。マレー半島(半島マレーシア)とボルネオ島北西部(東マレーシア)からなり、総面積は約33万平方キロメートルである。
マレーシア全上の約5分の4は熱帯雨林のジャングルに覆われている。半島部には東ビルマ、タイヘと連なる標高1,200メートルから2,000メートル程度の山脈が南北に走っている。海岸はおおむねマングローブ湿地で河口付近を除くと船舶の接岸には適さない。東マレーシアには、東南アジア諸島中の最高峰キナバル山がある一方、マレーシア最大の河川ラジャン川流域には広大な低湿地が広がっている。
気候は、南西モンスーンと北東モンスーンによって強い影響を受け、全域的に湿潤であり、年間2,000ミリ以下の降水量の都市はまれである。気温はクアラルンプールで平均27度であるが、高地のカメロンハイランドにおいては18度と高度によりかなり差がある。
半島部には、ペルリス、クダー、ペナン、ペラ、スランゴール、ヌグリスンピラン、マラッカ、ジョホール、パハン、トレンガヌ、クランタンの11州が、東マレーシアには、サバ、サラワクの2つの州がある。また、首都クアラルンプールとサバ州沖のラブアン島は連邦区とされている。大都市は人口110万を越えるクアラルンプールの他に、ジョージタウン(ペナン州)が32万、イポー(ペラ州)が36万、ジョホールバル(ジョホール州)が35万で、いずれも半島部の西側に集中している。

 

2 人口と民族
人口は約1,800万で、そのうち1,500万人が半島部に住む。主に、マレー人及び植民地時代に労働力として移住してきた中国人(以下、海外中国人の呼称として一般的に使用されている華人という表現を用いる)・インド人からなる多民族国家であるが、さらに半島部の山岳地帯を中心にオランアスリと総称される先住少数民族が、また、東マレーシアにもカダザンやイバンといったいくつかの原住民が住んでいる。19世紀に新たに移住してきた華人やインド人と区別するために、マレー人、オランアスリ、東マレーシアの原住民を総称してブミプトラ(上地の子)と呼ぶ。マレー人、華人、インド人の人口はそれぞれおよそ、850万人、450万人、150万人とされる(1990年の統計)。出生率は1990年の時点でマレー人では4.1%、華人では2.3%、インド人では2.6%となっている。なお、マハティ一ル首相は、1983年に、国内市場の拡大を目的として、西暦2100年までに人口を7,000万人にする

 

 

 

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