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3.3曳航シミュレーションによる検討

 

前述の曳航方式の安全性を確認するため、風や波などの外乱下で大型の浮防波堤を曳航する際の操縦運動特性について既存の計算プログラムを用いたシミュレーション計算により調査した。

 

3.3.1理論計算法の概要

 

曳船により堤体を曳航する場合の操縦運動計算法としては、通常船舶の操縦運動方程式に基づく曳船および堤体の運動方程式に、曳航索の運動方程式を連成させた曳船系の運動方程式を時間領域で解く方法を用いることとする。
曳航索の運動方程式のモデル化には、曳航索のように長さに比べて構成要素の径が小さく、剛性も小さい場合の動的解析法として一般的に用いられている3次元ランプドマス法を用いる。以下では、曳船および堤体の操縦運動方程式および曳航索の運動方程式について、概要を述べる。

 

(1)曳船および堤体の操縦運動方程式

 

船舶の操縦運動は水平面内の2次元運動として前後・左右の並進運動と回頭運動により表される。すなわち、操縦運動方程式は、図3.3-1に示すように前後・左右速度、回頭角速度を状態量とし、外乱によって船体に作用する流体力や操船装置による制御力等を強制力として与えられる。図3.3-2に示す曳船系の操縦運動を取り扱う場合には、曳船あるいは被曳船の運動方程式は次式のように表され、それぞれの単船状態での操縦運動方程式の右辺に曳航索による強制力が外力として含まれている。

 

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