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2.浮防波堤の反射波による異常波高対策の検討

 

 

防波堤による反射波により、防波堤の外側の海面の波高が高くなり、船舶の航行や養殖施設等に対して影響を及ぼすことが懸念され、近年、港湾の固定式防波堤や岸壁には、種々の反射波低減対策が施されるようになってきている。したがって、本研究においては、これら既存の低反射型防波堤の調査を実施し、これらを参考とした反射波低減機構のアイデア抽出及び水槽試験によるアイデアの評価絞り込みを行い、最も有力な反射波低減機構の案出とその概念設計を行うこととした。

 

2.1反射波低減方法の検討

 

2.1.1既存の低反射型防波堤
反射波を抑える低反射型の防波堤としては消波ブロックを堤体前面に設置する方法が主流であるが、各研究機関・企業ではその他にも様々な特殊堤としての低反射型防波堤のアイデアが出されている、各種文献及び特許調査を実施し、特徴的なものを抽出して付録1に示す。これらの低反射型防波堤の機能は以下の2つに分類される。
(1)波の砕波を促進させたり、渦流を発生させることにより波のエネルギーを消散させるもの
(2)波の位相差、干渉を利用するもの
このような防波堤の施工例を図2.1-1に示す。これらは堤体前面にスリットまたは孔を設け、スリット、孔を透過した波が遊水室で砕波するようにしたものである。このような低反射型防波堤は消波機能を持っ構造物を組み合わせることにより様々な構造形式が考えられる。本研究で対象としているものは浮防波堤と低反射型防波堤の2つの機能を合わせ持つ低反射型浮防波堤である。

 

2.1.2反射波低減機構の検討
既存の低反射型防波堤を参考にし、大型浮防波堤に付加して、浮防波堤よりの反射波を効果的に低減する複数のアイデアの抽出を行った。
それらのアイデアを図2.1-2〜図2.1-5に示す。これらのアイデアの中より、透過率に悪影響を及ぼさず、反射波の低減に優れた効果があると予想される反射波低減機構として次の4種を選定した。

 

 

 

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