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(4)造船事情

オーストラリア造船業は、かっては、RO/RO船、コンテナ船、オア/バルク・キャリアだと種々の大型外航船を建造した実績があるが、70年代後半に入ると、高賃金、頻発する労働争議、設備の老朽化、労働生産性の低下などにより国際競争力を失い、また石油危機による不況の影響もあって、国内造船所の閉鎖が相次いだ。なかでも、最大8万DWT型船の建造能力をもったメルボルンのWhylla Shipbuilding&Engineering Worksが78年に閉鎖したことにより、オーストラリア造船業は大型船の建造分野から撤退したことにたり、現在では外国造船所との競合が比較的少ない小型貨物船、曳船、補給船、漁船、フェリー、浚渫船、バージ、観光船などや海軍の巡視艇を中心に建造が進められている。
しかし、国内需要に限りがあるため、最近は各造船所も輸出船の受注に力を入れており、政府も従来国内船だけに適要した建造補助金制度を輸出船にまで拡大した。その結果、インド、ビルマ、東南アジア、ニュージーランドなどに向けて漁船、フェリー、その他小型船の輸出が増加している。また、英国、米国に対しても豪華ヨット、高速艇などの輸出が伸びている。
船舶修理業については、高い人件費、労働争議による納期の不安、修繕設備の老朽化による生産性の低下などのため競争力が弱く、国内船主も近隣諸国の造船所を用いる場合が多くなった。
このため、政府は船舶修理に対しても、一定条件の下に助成金を交付して、船舶修理業の競争力を強化し、仕事量の確保に力を入れている。
オーストラリアにおける主な造船所の施設その他の概要は、次の通りである。
1.Carrington Shipways Pty.,Ltd.
(所在地)Old PuntRoad,Tomago,NewSouthWales
(建造設備)船台2基(長さ最大137m)

 

 

 

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