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ニュージーランド

(1)一般事情

ニュージーランド経済は、農業部門を自国経済発展の基盤として先進工業国なみの高い生活水準を維持している。
農業部門は、羊と牛を中心とする牧畜業を主としており、全島が牧場のようだ光景を呈している。
農業部門(林業、漁業を含む)に従事する人口は全労働人口の10.4%(87年)を占め、国内総生産(GDP)への寄与率は8.2%(同年)に達している。
特に輸出においては、総輸出額のうち、農牧産業による商品、すなわち羊毛、食肉、酪農品は、約50%(87年)という大きな比率を占めている。
ニュージーランド経済の著しい特徴は、英国市場との結びつきが強いことである。いわゆる「英国の海外農園」から発展した国としては、カナダ、オーストラリアなとの例はあるが、ニュージーランドのように最近に至るまでその絆の強い国は、他に類をみない。資本の流入だけでなく、ニュージーランドの対英輸出、特にバター、チーズ、ラム(子羊の肉)など、こられ主要3品目は最近まで圧倒的に英国市場に依存していた。
しかし、英国が欧州経済共同体(EEC)に加盟して以来、ニュージーランドは英国以外の市場(アジア、ソ連、中近東など)の開拓に努力した結果、ニュージーランドの全輸出額に占める対英輸出は71年の30%から87年には約9.3%へと、その対英依存度は低下した。バターの対英輸出割当量は79年の11万5,000トンから88年には5万5,000トンヘと激減し、子羊の対英輸出も87年の2,900万頭から88年には2,700万頭へと減少した。

 

 

 

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