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◇UN−DHA(国連人道問題局)代表(英語版P.6)
このたび国連人道問題局を代表いたしまして、世界義勇消防連盟第4回アメリカ地域総会に御招待いただき、誠に光栄に存じます。国連人道問題局代表 明石康 国連事務次長からの心よりの御挨拶をお伝えしたいと存じます。
明研氏は、この重要な会議の開催を決められている主催者の皆様と、人道問題に対して惜しみない支援をされている世界義勇消防連盟総裁徳田正明氏に、心からの祝辞を述べたいと思っております。
世界義勇消防連盟は、1982年に創設して以来、人道分野における世界有数の非政府機関(DPI/NGO)として名声を博しており、多数の諸国が参加国として列しています。これまでにも同連盟は、世界各国において、人道救命援助に携わる消防隊員と民間防衛関係者の相互協力と連帯を築き上げるなど、非常に強力な影響を及ぼす役割を果たしてきました。
消防隊員が緊急かつ迅速な処置を講ずる人々であることは周知の事実です。災害が発生した際、人命救助のためには自己の危険を顧みない消防隊員が、消防服に身を包み消防資機材を装備して現場に到着すると、皆一様に安心します。
各国の民間防衛及び消防機関は、緊急時に際し、常に第一級の処置を講じられます。皆様は災害地における主要な活動家です。現場における応急処置は地方又は国家レベル援助に因って補強されますが、災害の衝撃力が激しく国際協力を要する場合は、私たち国連が出動開始となります。
国連人道問題曲(UN-DHA)は、1991年に創設されて以来、自然災害や内乱後における国際救済支援の動員と調整援助、災害に対する備えと防止の促進を、国連総会により要論されてきました。当局は二つの事務所を構えており、一つは明石事務次長が勤務し国連事務総長が近くに住んでいるニューヨークに所在し、もう一つは私の勤務地であるジュネーブにあります。
突発的に発生する災害に対する当局の役割を少し説明させていただきます。
これらの災害には地震、火山爆発、サイクロン、洪水、有毒化学液が含まれ、特に後者は皆様方の活動と非常に関連があります。前記の災害を受けた被災国政府が援助を要請した場合、世界のいかなる地域において発生しても、新しい災害に関する緊急情報の収集を図るため、災害救済調整部はただちに24時間体制を取ります。国連の外地駐在代表事務所は世界各国に所在しており、当局の目となり耳となっています。そのほか化学監視機関からも直接情報を得ています。
緊急事態が発生し被災国政府からの要請があった場合、当局はただちに諸国政府、国連諸機関、政府間機関、非政府機関ばかりでなく民間団体を直接訪問し、必要な現金、人材及び現物の寄付を供給し被災者の援助にあたります。その際に状況報告書を発行します。これらの報告書は世界各国300力所以上の国連災害管理者にテレックス、ファックス、電子メールにより同時に発送されます。
災害の被災度を決定し緊急救済の必要性を査定するために国連災害査定調整(UN-DHA)団を直接被災地に派遣し、迅速な救済ニーズを査定します。UN-DHAは、常時待機しているDHA(人道問題局)役員をはじめとして、ペルーを含むラテン・アメリカ諸国、ヨーロッパ諸国及びオーストラリアから派遣された有資格者による緊急管理専門家から構成されています。
イタリアのピサに緊急倉庫があります。そこには、毛布、テント等の救援物資を貯蔵しており、被災国の最寄りの空港に向けて緊急空輪を図ります。捜査救助支援の必要性がある場合、当局は緊急体制を取り、有資格者による国際捜査救助団を動員します。被災地においては、これらの団に対して現地調整の体制がしかれます。被災国の要請がある場合、国際的軍事国防資源からの特種専門家及び物流支援を動員できます。
ジュネーブに在るDHA管轄の救済調整部によって実行されますこれらの活動から見て、当局の事業と消防及び民間防衛機関による活動がいかに密接な関係にあるかお分かりいただけるでしょう。数多くの緊急事態において、当局はスタッフを被災地に派遣してきましたが、スタッフ達は現地の消防隊員や民間防衛当局と密接な協力体制を図っております。
自然災害及び非常事態は実に悲惨な状況であります。しかしながら、そのような事態に備えて準備体制を整えておくことで最適な救済援助を迅速に供給でさ、被害を最小限に食い止められるばかりてなく苦悩を軽減することも可能です。これこそ消防隊員及び民間防衛団体が国家レベルで協力しあうことなのです。この共通の目的に向かって共に歩んでいこうではありませんか。
私ども国連人道問題局と世界各国の消防隊員及び民間防備団体との絆をさらに強固なものとするために、このような素晴らしい機会を与えてくださった大統領閣下、総裁そして皆様に対して、再度感謝の気持ちを表したいと思います。世界義勇消防連盟の皆様の人道的な活動のなお一層の御発展を祈念いたします。

 

1996年10月1日
国連人道問題局災害救済調整部次長
ファブリッツオ・ジェンティローニ

 

 

 

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