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いは換気〜血流不均等だけということではなくて、これらが少しずつ混ざっていることが少なくありません。もちろん典型的な疾患では肺胞換気だけ、あるいは拡散にだけ問題がある、あるいは心臓疾患ではシャントだけに問題があることもあります。

 

3)拡散障害と酸素吸入
先ほど少しお話しした拡散の障害ですが、肺胞の周囲を血流(赤血球を含んだ)がずっと通っていくのに、安静時間で0.25秒くらい、本当に瞬間的ですが、この間に毛細管の肺静脈の酸素分圧が大体40?Hgから100?Hgにずっと変わってしまいます。そしてPao2がほぼ100?Hgというようになります。正常でも、肺胞内と毛細血管内の間にはわずかに圧に差が出てくるので、PAO2とPao2とには正常でも圧が違い、正常でも4mmHgくらいの差があり、10mmHgくらいが許容範囲となっています。それ以上が異常です。
さて、図10のように拡散障害が強い人ですと、PAO2が100?Hgでも0.5秒くらいでやっとPao2が大体60?Hgくらいになるということです。すなわち、もし肺胞の中のO2に比べて、Pao2が低いと、肺胞−動脈血ガス分圧較差A-aDo2が大きいということで、これを拡散障害といいます。
このような人に対して、たとえば肺胞の酸素分圧を普通以上に高くなるように酸素吸入をしておきますと、0.5秒位の時間でPao2はほぼ正常値になってくれるでしょう。
このように種々のタイプの酸素吸入の効果というものが考えられるわけですが、実は、拡散障害あるいはシャントがかなり強いと、酸素を吸入してもなかなか動脈血酸素分圧は上げにくいということが実際にあります。強い拡散障害やシャントなどより肺胞低換気のほうが酸素分圧はむしろ上げやすいのです。間質性肺炎とか肺線維症の場合には、しばしば拡散障害が非常に強く、すなわちA-aDo2が大きくなり、酸素をかな

 

 

 

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