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プロフェッションの生きがいとは

 

こうした中で医療、看護、福祉に携わろうという人は、生きる意味をもたなければなりません。明確な生き方を示さなければならないのです。医療、看護、福祉に携わる人は専門職です。プロフェッションです。プロフェッションのプロフェスというのは、知識、技術、経験が豊かだから専門家だというのではないのです。プロフェスというのは、明言する、告白するという意味です。自分の内に人に向かって告白せざるを得ない、行動に移さざるを得ない何かを持っている方が、実はプロフェッショナルだというのです。
一体、医療、看護、福祉に働く人が何を告白しようとするのか。どこに生きる意味を見いだすのかということであります。
先ほど私は、豊かになってたくさんのものを失ったと申しました。電車に乗るのに自動販売機にお金を入れて切符を買います。いまはいい機械で、必ず切符が出てきます。あの機械が出回り始めたころ、性能が悪くて、お金を入れてもなかなか切符が出なかったのです。駅員に切符が出ませんと言うと、何と聞かれたか。「本当にお金を入れましたか?」(笑い)。機械は信用する、しかし人間と人間との隔たりがますます広がっていくということです。
ひと昔前に流行ったキャッチフレーズですが「家つき、カーつき、ばばあ抜き」というのがありました。若い女性が結婚をするのに、相手は家を持っていて、車を持っていて、ばばあがいない。これが条件だと言われました。嫁姑のしがらみから脱して社会に進出しようとする近代的女性像を描いたものです。でも、ご注意いただきたいのは、家つき、カーつきという場合の家とカーはモノなのです。モノを重視しているのです。姑のいる長男のところには行かない。ばばあ抜きとは人間否定であります。これが今日

 

 

 

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