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思います。こうした風土をもつところから福祉国家がつくられ、福祉社会が今日形成されているのです。こうした土壌の中から医療、社会福祉も育ってきたのです。
ヨーロッパは私ども人類の歴史において新しい社会のシステムを開拓してきたのです。ヨーロッパモデルと言っていいと思います。ヨーロッパモデルを今日なお努力してつくっております。私どもはそこから実に多くのことを今日まで学んでまいりました。いまなお多くを教わっております。しかし、このヨーロッパのモデルが世界における唯一のモデルではありません。私たちの国アジアにはアジアのモデルがあります。

 

分かち合いのこころ

 

インドのボデリーという僻村に行きました。そこに障害者の授産所と言ったらいいでしょうか、25名の障害者と6名の指導員とが一軒の農家の納屋を改造して、起居を共にしながら6ヵ月職業の訓練を受けております。そこでは、私どもがパーティで使う紙の皿をつくっておりました。ただし、紙ではなく近くの森や林から木の葉を拾ってきて、それを湿らせ、乾かすという過程を経て、数枚の木の葉を括って大きな木の葉のお皿をつくるというものです。何枚かの木の葉を重ねて簡単なプレス機にかけてボールもつくっています。障害者の人々は賃金をため、さらにローンをして、そのプレス機を自分で買い込んで、訓練が終わるとそれを家に持って帰って、同じ作業をしながら自活をする、そういう仕組みになっておりました。
私がそこに行った理由は、日本がそこに援助をしだからです。援助した額は270万円。270万円というお金は、日本では人件費の一人分にもあたらないという額ですが、そのボデリーでは31人の

 

 

 

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