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ほうにある小さな石窟などは今どうなっているのか、私は非常に心配をして危惧しているところでございます。
そういったことをご紹介して、とにかく皆様方にもぜひ、これは恐らく観光事業の一番の資源になるものなのです。そういうものが今崩壊に瀕しているということに対しての認識と、保存運動についての強い関心と、そして積極的なご助力をしていただけたら幸いと思います。
それでは後はひとつスライドをお見せして、今私が説明したものを実際にご紹介したいと思います。スライドお願いいたします。

 

(以下 スライドによる説明部分 省略)

 

ちょうど時間になりましたので、私の講演は終わらせていただくのですが、最後に現在のアフガニスタンがどうなっているかということをお話しします。
これは安井浩美さんというカメラウーマンの方がお撮りになった現在の力一ブルの博物館の内部の様子ですけれども、写っている彫刻は、我々が博物館に入ってすぐ見ることができる、「カニシカ王の像」と呼んでいる像です。これがまだ現在もとのままの状態で残っているという点では非常にうれしいのですが、ただ周りは全部荒らされて、床はいっぱいに物が散らかっているという状態であります。
カーブル博物館の入口すぐ前のところに礎石が置いでございますが、この礎石が実は私たちが発掘いたしましたクンドゥズのテペ遺跡から持ってきて、置いてある礎石なのです。それが今でも残っていることは確かであると。しかし、ああいうふうに内部が散乱しているような状態で放置されているというのが心配なのです。
上のほうが今のカーブル・ミュージアムの建物の状況です。屋根は全部吹っ飛んでおりまして、2階の窓などが開いているような感じがわかります。下のところは、部屋の中の様子があんなに散乱しているということです。
きれいな部屋があったのですけれども、今はもうこういう状態であります。こういう状況を見ると本当に心が痛むわけであります。何とか早く戦争が終わってくれないだろうかと、戦争中でもいいから、こういう貴重なものはユネスコあたりでこれを安全に保護するような方法はないものだろうかということを痛切に感じている次第でございます。
さきにお見せしたような遺物も全部この博物館にあったのです。現在はほとんどこんな状態ですから、あれらのものがいったいどうなってしまったのか、あるいはもうなくなっているのか、散っているのか、そういうことが私には非常に気がかりなのです。
どうもありがとうございました。

 

 

 

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