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はしがき

本調査事業は、平成8年度日本財団から補助金の交付を受けて、(財)アジア太平洋観光交流センターが実施したものです。
昨年度は、事前調査の位置づけで中国国家族游局、日本大使館、JICA中国事務所に対して本事業の趣旨、目的を説明して、賛同を得るとともに、シルクロードの中国の出発点である西安。蘭州を中心に調査しましたが、引き続き、今年度は中国の河西回廊を中心とした甘粛省の調査を実施しました。
観光開発を進め、観光振興を図ることは、外貨の獲得、雇用の促進、地域開発等のためにも効果的であることから、特に開発途上国においては経済の活性化の柱の一つとして注目を集めるようになっています。
そのような中で、シルクロードが注目されています。旧ソ連から独立したウズベキスタン、トルクメニスタン、カザフスタンとキルギスタン等のシルクロードの中央地点である国々の観光訪問が可能になりました。中国から中近東の国々まで繋がり、マルコポーロが数年かけて旅した行程を現代の交通機関を使って、2ヶ月足らずで走破することも可能になりました。実際、ある大手の旅行社が50日間で中国の西安からトルコのイスタンブールまでのシルクロードを全線走破するユーラシア大陸横断のツアーを組んだところ大変人気を博したそうです。
世界観光機関(WTO)では、シルクロード地域の5カ国からの要請に応えて、国連教育科学文化機関(UNESCO)と共同で、1994年10月にウズベキスタンのサマルカンドにおいてシルクロード・プロジェクトの会合を持ち、「サマルカンド宣言」を採択しました。その後も、中国の西安で「西安シルクロード国際シンポジウム」を中国との共催で開催し、積極的にシルクロードの観光開発・観光振興に取り組んでいます。
日本においては、奈良をはじめとして、学術研究や国際文化交流の面で大きな蓄積があり、今年1月に「奈良シルクロード・トラベル・フォーラム」が開催され、多くの方々の参加を得て、F1本人のシルクロードヘの関心の深さを示しました。 アジア太平洋諸国からの国際貢献の期待に応えて国際観光交流の推進に寄与することを目的とする当センターは、「シルクロード等観光開発途上国地域の観光交流促進調査事業」を行うこととし、学識経験者、観光関係団体、地方公共団体等の実務者からなる「シルクロード観光促進委員会」を設置して、地域各国の交流意向等の基礎調査を行うとともに、調査団を現地に派遣して、観光資源としての魅力を調査し、当該政府等に対して国際観光振興および我が国との国際観光交流促進のための具体的な政策提言を行いたいと考えております。
今年度は、この課題に取り組むために、シルクロード観光促進委員会の委員長を団長とする調査団を編成し、中国の河西回廊を中心とした甘粛省へ、平成8年10月12日から10日間派遣しました。
本報告書は、当センターが(財)国際観光開発研究センターの協力を得て調査を実施し、その結果を取りまとめたものです。
終わりにあたり、この調査の実施に協力を頂きました運輸省運輸政策局観光部企画課、および中国の国家族游局を始め関係の皆様に厚く御礼申し上げます。
平成9年3月
財団法人アジア太平洋観光交流センター 会長 稲盛和夫

 

 

 

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