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いちばん関心をもたれるのではないかと思うのです。会員制ですので、会員証の発行のデータから会員の住所を調べてみましたところ、1,928人の外国人のうち、国内に住所がある人が1,478人で4分の3。あと残りの4分の1の方が外国から来られているようです。1,928人の内訳ですが、兵庫県に住所がある方が420人でダントツなのです。2位が大阪府で283人。3位が地元岡山で、4位がアメリカ合衆国、5位が京都府で129人ということで、関西の2府1県で、日本に住所のある会員の方の半数以上、全体でも40%以上ということで、今日は関西の自治体の方も多いようなのでその前でこういった顧客データをばらすとこちらの営業上損失があるかもしれませんが、だいたい兵庫、大阪のほうから来たお客さんで岡山県の国際交流ヴィラが何とか運営できているというのが実情のようです。
そういった会員の方々を対象に、どうして国際交流ヴィラを知ったのかという調査をしてみました。すると、ほとんどの人が友人、知人から聞いたとか紹介されたとかそういった理由を挙げておられます。県のほうでは、これ以外に個別の国際交流ヴィラのパンフレットもつくっていますし、県のもっている広報メディアも活用しているのですが、そういった答えはあまり返ってきません。パンフレットを撒いてみても、それが直接の契機にはなっていない。ほとんど口コミ情報なのです。今は国の自治省や文部省がやっているJETプログラムとか民間の英会話学校が小さなまちにもできています。あとは大学におよばず短大レベルでも外国人の教職員の方が増えています。そういった方々は、非常に強力な情報ネットワークをもっておりまして、日本人と違って職場とか年齢とか、彼らにとっては兵庫県も岡山県も関係ありませんから、そういったことを越えて国際交流ヴィラという小さい情報でも彼らのネットワークに乗ってしまえば、おいしい情報があるということであっという間に広がるようなのです。
先ほど海外からは4分の1が来られているというお話を申しあげたのですが、私などはヴィラがなかなか遠いところにあるのでしょっちゅうは行けないのですが、行ったときに海外から来られたお客さんに聞くと、たいてい家族や友人が岡山なり日本に住んでいて、その人に紹介されたから来たという形で、日本に住んでいる外国人の方が観光地はいろいろあるけれども、自分は少し変わった穴場を知っているという感じで紹介している例が非常に多いようです。そういう意味では、口コミが最大のメディアのような感じがします。
次に、なぜ国際交流ヴィラを利用したのかということを直接聞いてみたりアンケートをしてみたりしたのですが、理由は値段が安いということとのんびりとしたいということ、この二つが他の項目を大きく引き離してトップ2に並びました。地元で普段管理してくれるおばさんに聞いてみますと、「利用される方というのは、サイクリング、山登り、スケッチ、海水浴、読書で一日を過ごされている。お金は一銭も使いません。伝統工芸、伝統芸能を見せるにしても、お金を取るとたぶん見ないでしょうし、しないでしょう」という意見なのです。ただ、これは、ヴィラを利用されている方のことで、外国人の方すべてが伝統工芸をお金を払ってまで見ないというわけではないので、そのへんは誤解のないようにお願いします。
県としましても、そういった過ごし方をされて満足だといわれますと、関西のほうに住んでいる外国人の方に安い別荘を提供しただけの事業で終わってしまうので、使われる方が本当に満足しているのかと思いまして、いろいろと聞いてみたりアンケートを送ってみたりしたのですが、やはり国際交流ヴィラを利用される方というのは日本に興味がある方ですから、地元のイベントに参加したいとか、せっかく行ったのだから村の歴史とか近所の神社仏閣の由来だとか、古い建物が残っていればその建物の由来について本当は知りたいのだという回答が非常にたくさん返ってくるのです。
イベントについては、役場のほうがふるさとまつりなどを実施してくれたり、地元の秋祭りなどでも地元の方の協力で餅つきやお神輿かつぎなどに参加させてもらっているのですが、地元の人も役場のほうも毎週イベントをしろといったら疲れてしまって長続きしませんから、そういう意味では自然な形で参加できる方法を岡山県としても地元の方と一緒になって研究中です。ボランティアガイドなども、岡山県には倉敷という大きな観光地があるのですが、そこはすべて無料のボランティアの観光ガイドとか善意通訳といった方々がボランティアで活躍されて、来られる外国人の方には非常に喜んでいただいているのですが、過疎化、高齢化が進んだヴィラでは何かしてくれるという人間自体がいない。しかも、歴史を話せとかいった場合は語学の問題があります。あいさつをしたり自己紹介をするぐらいなら誰でもできるのです

 

 

 

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